今年めでたく20回目を迎えた東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、例年7月の暑い時期に開催でしたが、今年は震災の影響を受けて10月の開催となりました。
暑くもなく寒くもないベストシーズンだけに、他のイベントと重なってしまうというデメリットもありましたが、それでもなんとかやりくりして、今年は3本見ることができました。
【ロミオ】(2011年 ドイツ)
大都会に憧れて田舎から出てきたルーカス。
しかし手配されていた部屋は、なんと女子のナース寮!
ノンケ男子なら夢のような毎日も、ルーカスにとっては苦痛とストレスの連続。
ある日、ルーカスはセクシーでイケメンのファビオと出会い、恋心を抱く。(以上公式あらすじ)
これだけ読んだら、軽いタッチのコメディかなと思うじゃないですか。
ところが実際は性同一性障害を扱ったシリアスな話だったので、最初は戸惑った。
主人公は女性として生まれたけど心は男性、ホルモン注射や筋トレで肉体改造中。
男性としてファビオに近づいていく。
ファビオはゲイ寄りのバイですかね。
男女を問わずにモテまくるフェロモンだだ漏れ男(でも実はいいおうちのお坊ちゃま)。
男が好きなら女のままでいいんじゃね?と思うのはヘテロの人間だけではなく、レズビアンもゲイやっぱりそう思うわけですよ。
ゲイもビアンもルーカスがトランスセクシャルと知った途端、嫌悪感をむき出しにして差別する。
セクシャルマイノリティの中のさらにマイノリティ。
でもそうじゃない。
ルーカスは「男になりたい」のではなくて、生まれたときから男なのだ。
それも男として男が好きな男。
やっかいだけど、性癖ってそういうもんでしょ。
ただし肉体という入れ物がエラーで、つまり彼にとっては女のぬいぐるみを着ているような状態なのね。
早く脱いで本当の自分になりたい・・・性同一障害とはそういうことなんだと理解した。
ルーカスを演じているのは男優です。
最初からそう思ったんだけど、見ているうちにだんだんわからなくなってきた。
どっち??
胸のサポーターを脱ぐと巨乳だったりする。
え?女優?!って一瞬思ったけど、そんなわけはなくて、巨乳はフェイクとCGだったようです。
その心は男だけど体はまだ女という複雑な性別を演じた主演俳優は、「トランスアメリカ」で、MtF=元男で性転換済み女性を演じた女優といい勝負だなと思った。
【LAに恋して】(2011年 アメリカ)
スターをめざしてロサンゼルスにやってきたゲイのアダム。親友(女)のキャンディの家に居候してオーディションを受け続けるが落ちまくり、ゲイポルノの制作会社でアルバイトを始めたあたりからお約束の転落が始まり、最初はゲイ雑誌のグラビアモデル、次がゲイポルノ出演、ついにセレブ相手の出張ボーイに。
そして出張ボーイとして呼ばれて出会った有名スターのジョンと恋に落ちる・・・。
なんだこのBLのようなわかりやすい俗な展開は。
でもこのわかりやすさ、俗なところこそ、この映画のいいところだ。
誰が見てもわかる、誰が見ても笑える、そして「んなことありかよ」と思いつつスカッと爽快なハッピーエンド。
そんな中でアダムがLAに来て最初にできた彼氏、ゲイポルノの監督でカメラマンのニックはいかにもゲイゲイしい業界人でインパクト大。
言葉巧みにアダムを口説いて裸にむいて、まんまとゲイ向けグラビアを撮影してしまう手管は、うわ〜本物!って思ったら、この映画の監督のキャスパー・アンドレアス本人だった。
そのジャンキーで変態なところも・・・強烈だった。
わかった。
こういう変態っぽい監督が撮る乙女チックなシンデレラストーリーだからいいんだな。
毒はどこかに隠されているけど、ゲイが見てもノンケが見ても楽しめる映画。
上映後、そのシンデレラを演じたマシュー・ラドウィンスキくんがトークセッションに登場。