ご無沙汰しました!
この記事を途中まで書いたところで、1か月半が過ぎてしまいました。
なでしこ世界制覇!を見届けたところで、何事もなかったように(?!)再開します。
ガッシュ文庫2011年
医師(29)×無職(26)
「ムーンライト」の続編。
(こちらを先に読んでしまうと、ムーンライトのネタばれになってしまうのでご注意を)
人間って、明日も今日と同じように目が覚めて心臓が動いていると信じているけど、実は自分が知らないうちに深刻な不具合が進行していて、突然止まるってこともあるんだよね。
去年と今年と続いて2人、昨日まで生きてた人が、病院以外の場所で突然病死するという事態があって・・・世の中にはあることだけど、自分の友人知人だとやっぱり驚きますよ。
大災害で一度に多くの人が亡くなったり、身近な死を体験すると、人間は無事に生きてるだけでも奇跡、すべてに感謝して今日を生きなくては・・・とそのときは思うのだけど、気がつくとどうでもいいことを心配したり悩んだりしている。
きっと、そういうふうにできてるんだな。
人間は誰でも必ず死ぬ、しかもいつどういう死に方をするかわからない、だから明日死んでも悔いないように毎日を生きなくては、などということをいつも本気で考えてちゃ、生きているのが大変すぎる。
だからどうでもいいことを心配するのをやめられないのね。
浜辺で倒れていたところを医師である一樹に助けられ、亡くした記憶も取り戻し、最新のバチスタ手術が成功して元気になった浩之。
長くは生きられないかもしれない。
でも、余命何年というほど限定されたものでもない。
長くない人生を大切に生きようとしている浩之の最大の悩みは・・・同棲している彼氏との性生活。
満足させてないんじゃないかとか。
一樹も、浩之がそのことでプレッシャーを感じているんじゃないかと悩んでいる。
まあ・・・なんと言うかですね。
一樹は同僚に、浩之はカウンセラーに、それぞれこっそり相談しているのだが、他人からみれば「おまえなあ・・・」とか、「セックスレスの夫婦はたくさんいますよ」という反応である。
浩之は、病気のために母親に幽閉されて育てられた。
そのまま人並みの青春も知らず、結婚して家庭を持つこともできず死んでしまっていたかもしれないのだ。
それが優しくて優秀な医師という理想的なパートナーと出会い、誰からの反対もなく彼の嫁になり、しかも自分は莫大な資産を相続している・・・病気を差し引いてもかなりの幸せを手にしていると思うのだが、それでも人は「入れる」「入れない」とか、小さな?ことに悩むものなのだ。
それは浩之が、ついに人間らしい「幸福」を手に入れたということなのかもしれない。