ディアプラス文庫2011年
短編集なのである。
短編が5編と思ったら「
small things」は4話から成り立っているので、つまり9組のカップルの話なのである。
そのほとんどが「片想い」「告白」が主題になっている。
好きだという気持ちをひたすら隠して付き合ってきたけど、耐え切れなくなって(あるいはふとしたことで)告白、玉砕かと思ったら実は相手も・・・
という似たような展開の話もいくつかある。
それでも1粒ずつ色の違うチョコ菓子のように、一つ一つがキラキラと輝いている。
あとがきに「こんなんでいいなら私も書いてみようかしら」と創作意欲をかきたてられるでしょうなどと自虐ネタを披露していますが、いやいや、こういう短編集を出せること自体が作者の力量を示していると思う。
「告白」と「片想い」を入れて9本書いてみろって言われたら、素人はこんなにバリエーションつけられないですから。
「
朝チュン未満」と言ってるように、エロはない。
それ以前の話なんだけど、萌えどころがないわけではない・・・いや萌え萌えです。
もっと読みたいけど、ここで終わるから想像が広がるという・・・さすがBL作家。
書けそうで書けないプロフェッショナルな仕事なのだ。
ずっと片想いしていた担任の教師に、ゲイショップの近くで補導され最悪の形でバレて自爆する「
恋を知る」、ずっと相手を年下好きと誤解して悶々と同居していた「
賞味期限以内にお召し上がりください」がいい。
他と違うパターンだが、人気アイドルとローディという、1冊だったらこの人が書くことがないような「
チューニング」もいい・・・やっぱり全部いい。
やっぱりいいな月村奎は。