リブレ2010年
会社経営(37)×心理学者(36)
この年の瀬のワイドショーネタ、twitter不倫暴露騒動・・・どーでもいいじゃんそんなオジサンとオバサンの三角関係なんか・・・と言いつつ、妙にみんな食いつきがいいのは、非常に分かりやすい下世話さ満載の話だからではないだろうか。
元ダンの不倫をあとから知ったらそりゃ悔しいだろうさとか、この人の歴代彼女ってみんな似たようタイプの気の強い女なんだろうなとか、「みんな僕が悪い」とか言って収めようとするあたり、地雷原を歩きなれてるよなあとか・・・結局どーでもいいけど、何か言いたくなるんだな。
大人の恋はやっかいなものである。
若いうちは、失恋でも片想いにジタバタするのも一時の恥だけど、大人になっていろんなものを身につけ、失うものが多くなればなるほど、恋愛の取り扱いは難しくなる。
町屋はとこのコミックとのコラボ作品は、そんな大人の恋の困難を書いている(と思う)
コミック「恋とは呼べない」では、生真面目なゲイの会社員とフリーターの若者、小説「愛とは言えない」では、実業家と大学准教授、2カップル4人の大人の恋模様が、やきのり(猫)を共通軸に描かれる。
単に原作付きコミックと小説の連携という以上に、話は一つの世界を形作っていて、成功している企画だと思う。
コミックの英と淳平は、やっと英が前の恋を終わらせたところでまだこれからだが、橘高とサガンは15年ぶりに再会したその日に寝てしまう。
37歳と36歳、お互いに社会的地位もある大人なのに、いや大人だから、寝るのは簡単でもそこから先がややこしい。
恋愛エッセイなども書いて、女性に人気の心理学者、目雅彦(さがん・まさひこ)=サガン。
橘高がどんなに真剣に口説いても冷たくあしらい、それでいて都合よく橘高を利用している。
酔ったフリをして橘高を誘い、ベッドでは別人のように奔放なのに、後日「思ったほど良くなかった」と男のプライドをズタボロにするようなセリフを投げつける・・・そんな悪魔のようなサガンが・・・素敵だ。
しかしサガンの気持ちはわかる。
生粋のゲイのサガンと違って、女好きの橘高は基本的にヘテロまたはバイ、金も地位もあり才覚もある色男で、女に不自由したことはない。
これまでさんざん遊んできて、同性のサガンとこれからいったいどうしようというのか?
ワイドショーのレポーターなら「サガンさんとはどういったお付き合いなんですか?」「銀座のママさんとの噂もありますが」と迫られるところであろう。
1巻では、サガンが頑なに恋愛を拒絶する理由が明らかになる。
橘高もここからが勝負どころ。
こういった話では、攻めが薄っぺらくなりがちだけど、橘高にも父親との確執や、恵まれすぎているが故の不幸がある。
いずれにせよ本気でサガンを自分のモノにしたいなら、37歳の男の誠意と将来ビジョンを見せてみろよ!
それまでサガンはもっと橘高をいじめてよし!
橘高の反撃はこれからなのでしょうが・・・ああ2巻が待ち遠しい〜。
2巻が出るまで、シナモンシュガートーストを食べて待つのだ。