リブレ出版2010年
会社員(28)×会社員(28)
いかん・・・あまりにもサボりすぎた。
長い猛暑もようやく去り、「もう暑くて暑くて」もそろそろ言い訳にならない・・・。
鳩村衣杏、コンスタントに新刊を出し続けている作家の中でも、作風が大きく変わってきた人だと思う。
「映画館で逢いましょう」の頃の、地に足のついた職業ものからメロドラマ路線に進出、まではよかったんだけど、ここのところ「サービス過剰では?」と思う作品もあり、ちょっと様子を見てから買うようになってました。
初の角川ルビー文庫
「恋する男はいつも傲慢」は、独立したばかりのやり手代理店社長が、取り引き先の社長の甘ったれ息子をバイトで鍛える話。
初期の鳩村テイストに今の鳩村さんのサービス精神がミックスされて、久々にいいかんじ。
続くビーボーイノベルズ新刊が、この
御曹司×御曹司。
当然のことながら、御曹司は職業ではない。
華族の末裔、鷹藪家の当主である鷹藪千里(たかやぶせんり)は、シンクタンク勤務、グローバル企業の創始者の直系、跡取りの宝生虎之介(ほうしょうとらのすけ)は、有名飲料メーカー勤務のサラリーマンである。
二人は共通の幼なじみである勇美をめぐってライバル関係にあり、勇美の結婚を阻止するために共同戦線を張る・・・というのは、いささかマンガチックなドタバタ劇で、こういう設定じゃなくてもよかった気がするんだけど、この2人のタイプが違う男前の御曹司の描き方がなかなか面白い。
御曹司といっても、旧家の当主には旧家の当主の苦労があるし、大金持ちの跡取りゆえの苦労もある・・・街のベーカリーの息子である勇美を追うのは、そんな二人にとってオアシスだったのかも。
それともう一つ重要な点!
ゲイである千里は、本来攻めなのだ。バイの虎之介に対しては「暫定受け」・・・リバになる可能性はあまりなさそうだけど、無駄に恥らったりしない男らしい「
サムライ受け」なところが好ましい。
千里が買っていた男娼、鷹藪家の執事、虎之介の双子の弟たち・・・ちらっと出てくる脇役も印象的なので、続編またはスピンオフがありそう。