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上海(新装版) かわい有美子
 幻冬舎ルチル文庫2009年

英国貴族×中国人執事

これは読んでない・・・と思ってたけど、読んでいた旧版の「上海〜うたかたの恋」(ビーボーイノベルズ1998年)。
それもブログにアップしてるじゃないか・・・でもぼやけた感想を書いてるし、「上海金魚」は保存してるけど、こちらはさっさと手放しているところをみると、あんまりピンと来なかったんでしょうね。

ルチル文庫の新装版は、大幅に改稿、シーンも追加しているとある。
そのせいなのか、自分的にいまかわい有美子がブームのせいなのかどうかは、旧版が手元にないので比べられないのですが、新装版では大河メロドラマを堪能しました。

メロドラマの基本アイテム「身分違いの恋」「戦争に引き裂かれる2人」が、さながら宝塚グランドロマンの如くきらびやかに繰り広げられる。

最初から最後までただひたすら旦那様をお慕い申し上げ、全身全霊で尽くすことしかできない立場のエドワードを軸に、上海生まれの英国貴族、レイモンドが年齢、時代とともにその価値観を変えていくところが上手いと思った。

兄弟のように一緒に遊んだ無邪気な子供時代が終わり、英国のパブリックスクールで支配階級としての教育を受けて戻ってきたレイモンドとエドワードの間には、主人と使用人、白人と黄色人種というはっきりした溝ができていた。

事業の失敗、婚約破棄、病気と、順風満帆だったレイモンドの人生に暗雲たれこめて、初めてエドワードの献身に気がつき寵を与えるようになったとき、戦争が2人を引き裂く。

「旦那様、ここでお別れです」

波止場のシーンは旧版でもこんなにドラマチックでしたか?

エドワードを失い、戦場で死線をさまよったレイモンドは、ついにエドワードが自分にとって二度と得ることのできない至上の存在であることに気付く。

やっぱメロドラマは、悲しい別れ&ドラマチックな再会だよね〜としみじみ思う。

レイモンドと別れた後のエドワードのエピソード「歌姫」と、書き下ろしの「クリスマスローズ」付き。
(デザートのように甘い書下ろしに痛恨の誤植が・・・)
| かわい有美子 | 22:49 | comments(2) | - |
天国みたいなキスをして 菱沢九月
 角川ルビー文庫2001年

医大生(19)×菓子職人(24)

札幌の古本屋で・・・あれ?これって読んでないよね?と思って連れて帰ってきたけっこう古いルビー文庫。

隆文(たかふみ)と遥司(ようじ)は幼なじみ。
5歳年上の遥司は、高卒で菓子職人となって東京で修業ののち地元に戻り、弟の親友だった隆文と恋人同士になった。
独立して店を持とうとしている遥司に、東京から師匠の三嶺(みむね)がやってきて、神戸支店の店長になれと強引に引き抜きこうとする。

さらに三嶺は、隆文に「おれが遥司の初めての男だ」と宣戦布告。
遥司を巡って、昔の男VS今の男のバトルの火ぶたが切って落とされる。

この「世界的に有名な天才パティシエ」のオトナゲのなさが面白い・・・あれ?この人って「好きって100回言ってみな」の攻め? 

「小説家シリーズ」が完結したときに、こちらも再読しようと思ったんだけど、ルビー文庫のコンテナがあまりに深い地層に入っていたので取り出せなかった。

こんどこそやっと発掘して「好きって100回言ってみな」「いいから黙って愛されな」を再読。
やっぱりこの三嶺だったんだ・・・でも話は全くリンクしてない。ここではただの当て馬である。

まだ何者でもない学生の隆文は、成功した大人である三嶺の登場に動揺するが、遥司の隆文への気持ちは少しも揺るがない。
つまり最初からデキている甘いカップルにちょっとだけ波が起きて、結局何事もなく甘く終わるだけの話なんだけど、甘さが濃厚なのは、この話そのものがいくつもの物語の「その後」「それ以前」になっているからではないかと思う。

小学校のときから好きだった初恋のお兄さんが、東京に行ってる間に中学生から高校生になり、色っぽくなって帰ってきたお兄さんとやっと恋人になった隆文。

上京して憧れのパティシエの弟子になり、製菓技術も恋愛も手取り足とり教えられたけれども、「これは違う」と気付いて別れ故郷に戻り、知らない間に男になっていた幼なじみと結ばれた遥司。

さらに、隆文はこの段階では学生だけど、数年後には医師になることが決まっている。
医師とパティシエのカップルになるわけで、人生そこからいろいろ・・・そんな二人の蜜月の一コマなのだ。

しかし、三嶺は見かけによらず「かわいいもの好き」で、高校時代から目をつけていた弟子に振られたあと、もっと小さい子に一目惚れしちゃったわけだ。

やっぱりこういう自信家には、いつかライバルとなる同業者よりも、「甘いものキライ」くらいの子のほうがよかったんだよ・・・と納得。
| 菱沢九月 | 17:50 | comments(0) | - |
妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず 榎田ユウリ
 角川書店2009年

榎田ユウリ名義の作品を初めて読む。非BL。

時代は(一応)現代、DNA研究により、ヒト型変異遺伝子を持つ人間の亜種・・・見た目は人間で、人間として生活しているが、厳密にはヒトでない「妖人」が発見された世界が設定されている。

そこではヒトは、DNA検査をしないと自分が人間か妖人なのかは分からず、全人口の3〜5%が妖人と推定されている。
・・・というファンタジーであり、美貌の妖人・洗足伊織(せんぞくいおり)が、鱗田(うろこだ)と脇坂(わきさか)という刑事コンビに力を貸して、事件を解決する・・・という探偵ものである。

女性のダイエット願望に、妖怪の油取り(子供をさらって油を絞る妖怪)を掛け、女の友情の暗黒を描く探偵小説・・・わりとライトに読める本と思って、旅行に持っていったんだけど、最後にやられた・・・機内で大泣きして恥かいた。

もちろん、ボーイズラブな要素は全くないのであるが・・・じゃあBLの榎田尤利と大きく違うのかというと、意外とそうでもない。

江戸っ子で理屈っぽく毒舌家の伊織は茶道の師匠で、放蕩長屋の春彦と芽吹を足して2で割ったような人物だし、彼につきまとう青目との関係は、なんとなく芽吹と兵頭の関係にも似てる。
特殊な能力を持つ探偵ということでは、「眠る探偵」と共通するテイストもある。

さらに、鱗田は55歳のオッサン設定だけど、そのキャラクターは、榎田尤利の攻めの一つの典型である無神経だけど誠実な・・・つまり久留米だよね。久留米が55歳になったかんじ。

もちろん、男同士のLOVEシーンがあるとないとでは大きな違いなんだけど、「うまい」「おもしろい」っていう部分は、やっぱり榎田尤利名義のBLと共通している。

だって、美形の伊織に女性のパートナーがいるわけじゃなし(補佐役はもちろん男)、悪役の青目は「女好き」という設定だけど、毎日違う女を取り替える・・・つまり決まった女はいない。限りなくBL的な雰囲気ではある。

女きょうだいの末っ子で、スイーツと女性誌情報にやたら精通している乙女系新人刑事の脇坂が、BLにはありそうでいないキャラで、最初はうるさいだけだったのが、終盤にぐぐっと成長を見せるところが憎い。

シリーズ化が前提の話だと思いますが、次回の活躍が楽しみなのは脇坂くんだな。
| 榎田尤利 | 23:15 | comments(0) | - |
2009年このBLが★★★
いつも当ブログにお運びいただき誠にありがとうございます。
早いもので5回目の新年です。
(最初の記事は2004年12月31日付ですが、実際に始めたのは2005年1月8日です)

小学生が高校生になるくらいの年月同じことをやっているのかと思うと、クラックラしますが、やはり自分のための備忘録として必要なものなので、今後ともお目汚しご容赦ください。

読んだものすべてアップするぞ!と意気込んだこともありましたが、やっぱり無理だったので、2009年7月から読書メーターも併用してます。

7月以前のものもできる限りさかのぼって1月まで入力したところ、2009年に私が読んだ本は246冊ということでした。
えっー! そんなに読んだかなあ?
でも再読がかなりあります。

昨年のベストテンといっても、最近ますます読む作家が限られてるので、あまり意味がないと思います。
新刊・既刊問わず昨年読んだ本の中から、印象に残ったものを部門別に取り上げてみたいと思います。

【シリーズ絶好調部門】
1 「交渉人は振り返る」 榎田尤利
2 「唇にキス、舌の上に愛」 高遠琉加
3 「小説家は誓約する」 菱沢九月
4 「狼皇帝〜宿命のつがい」 剛しいら
5 「放水開始!許可証をください」 烏城あきら

シリーズもので好調、または完結したもの。

交渉人シリーズ」は、続編とかスピンオフとかではなく、一話完結ながらも佳境に向かいつつあり、今後がますます楽しみ。

レストランシリーズ」は、こんなに盛り上がる話とは最初思わなかったです。私的な高遠さんの格付けがこれで「必ず新刊買う作家」に昇格しました。

小説家シリーズ」は、出るとは思わなかったサプライズ完結編。かなり間があきましたが、完結してみれば「愛妻物語」の決定版でした。

500年の時空を超える壮大な「狼シリーズ」は3冊で完結でしょうか? まだいける気がしますけど。
完結するという噂だった「許可証シリーズ」は続行となりました。

【R45部門】
1 「優しい罠」 剛しいら
2 「最果ての空」 英田サキ
3 「リメイク」 剛しいら
番外 「きのう何食べた」(3) よしながふみ

ボーイズラブも読者の年齢層が上がって、成熟期に入ったと思われます。
「ジジ受け」のような「対象」としてではなく、中高年の心象を描いたボーイズラブが出てきたことに注目。
1は、カップルは若者だが、主人公はニア50という中年小説
2の篠塚はまだ40だけど、ここでいいんじゃない?
3も主役カップルとは別に、昭和の時代劇俳優、花田(推定70代)が陰の主役でした。

番外はBL小説ではなくお料理コミックですが、R45の人間関係と生活感がリアルに描かれているのでこちらに入れました。

【ベテラン好調部門】
1 「夢にも逢いみん」 かわい有美子
2 「いとし、いとしという心」 かわい有美子
3 「空色スピカ」 かわい有美子
4 「盗っ人と恋の花道」 剛しいら
5 「我儘な王子は恋着する」 剛しいら
6 「フラワーチルドレン」 うえだ真由
7 「この唇でもう一度」 うえだ真由
8 「嘘と誤解は恋のせい」 小林典雅
9 「さやかな絆」 遠野春日
10 「初心者マークの恋だから」 いつき朔夜 

順位にあまり意味はないんですが、上記以外で2009年の10冊を挙げてみました。

2009年はなんといっても、かわい有美子が絶好調でした。
「夢にも逢いみん」は、王朝BLとして格式高くしかも萌えどころを押さえて、さすがベテランの貫禄。
「いとし、いとしという心」は、京ことば指導、和装監修、京都某老舗旅館ロケハンもろもろの結集として大満足。
さらに「トーマの心臓」へのオマージュ?甘酸っぱい学園ものまで書いて、復刊も多数。
まさしく「かわい有美子イヤー」でありました。

剛しいら組長は相変わらず絶倫でした。
特に時代物は独壇場。時代物は久我さんや鳩村さんもチャレンジしましたが、やっぱり何か匂いが違うんですよね・・・たぶん、昭和の時代劇の匂いなんだろうと思います。
「我儘王子」は続編ですが、お世話役攻めという(「夢にも逢いみん」もそうですが)myツボにヒット。

うえだ真由は新刊じゃないんですが、昨年は未読本&同人誌をまとめてがっつり読んで、改めて良識派といわれる所以を認識、「この唇」は久々の号泣ものでした。

遠野春日、実は新刊はこれしか読んでないんですけど、昨年はこれと「茅島氏」で満腹してしまいました。

いつき朔夜は、昨年は新刊2冊出しましたが、どちらもちょっと決め手に欠けるかなあ・・・もちろん平凡な出来ではないんですが、もう新人じゃないので、もっと高いところに行けるはずと期待します。

小林典雅ももう新人ではない・・・とりあえず1年に1冊は出しましょうよ。

以下、ダラダラ長いので折りたたみます。


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| 現代BL文学入門 | 10:03 | comments(0) | - |
成澤准教授の最後の恋 高遠琉加
 角川ルビー文庫2009年

准教授(31)×編集者(23)

福袋」ってのは、不要なものが入ってるから買わないんだけど、これは全部欲しかったものが入っている福袋みたいな、今年最初の大アタリ本だった。

フランス文学翻訳者として顔も名前も売れている成澤(なるさわ)は、帰国子女で容姿端麗、31歳の若さで大学准教授。
学者として前途洋洋、本業以外の仕事で知名度も収入も上がり、ほしいものはなんだって手に入る何不自由ない生活・・・なのに毎日が「つまらない」のはどうしたことだろうか。

そんなナルナル先生が、美青年でもない、地味な新人編集者の蒼井(あおい)に・・・最初は遊びでチョッカイ出しただけのつもりが、ずるずるっと本気になってしまい、ウブで従順だと思っていた男の意外な頑なさに手も足も出なくなる。

「遊び慣れた攻めが、オボコなヒロインにおぼれてメタメタになるお話」

私の大好物・・・これは攻め視点が重要で、鳩村衣杏の「ドアをノックするのは誰」の甲田、うえだ真由の「フラワー・チルドレン」の倉田、吉田ナツの「ダブルベッド」の佐伯、話の系統は違うが、鷺沼やすなの「夢の卵」の黒沢先生もちょっと入ってるかな・・・・自信家で傲慢でちょっとナル入ってて、でも子どもっぽい(大人気ない)・・・私の好きな攻めキャラを全部足して割ったような人物だ。

こういう話では受けは清楚な美人というのが定石だが、蒼井に関しては、特に美形ではない、印象に残らない平凡な容貌としている。
成澤先生は、仏文学者のくせに、純愛の存在を信じず、恋愛が人を愚かにすることも知らない。
最初から「平凡な男だ」「好みの顔じゃない」と自分に言い聞かせながら、地すべり的に恋に落ちて行くところが、滑稽であり、恋愛の本質をついている。

よくあるパターンながら、そもそも最初に大きな「誤解」があって、それがあちらこちらと転がっていく展開が面白く、仏文学者らしいエスプリのある気のきいた作品になった。タイトルにかかるラストのセリフもしゃれている。

「准教授」という言葉ができたときに、「准教授じゃ萌えない」と書いたけど、やはりもう助教授の時代じゃないですね。BL初の「准教授攻め」??

| 高遠琉加 | 14:43 | comments(0) | - |
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