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深海魚は愛を歌う ほか女装もの2冊
新人女装モノで面白い・・・というウロ覚えの情報で間違って買ってしまったのが

『アゲハ蝶に騙されて』 楠田雅紀 二見書房シャレード文庫2009年


「接待で行ったニューハーフバーで一目惚れした美しい女装ホステスが、新入社員として自分の会社に入ってきた男と同一人物とは気付かない」という、現実にはありえない、しかしBLではありふれた展開である。
しかもその男は女装すれば男と思えないほど美しく、新入社員としてはめちゃくちゃ優秀という、BL的てんこ盛りのせいで話が散漫になってしまった。

この話が面白いのは、名古屋のご当地ものとしての部分で、残念ながら主役カップルは標準語なんだけど、上司が今の名古屋市長のような強烈な名古屋弁。
自動車部品の輸出メーカーという職業描写もリアルで、愛知県はトヨタを頂点とする製造業でもっているんだなあ・・・ということを実感する。
女装攻めです。

『深海魚は愛を歌う』 久万谷淳 白泉社花丸文庫BLACK2009年 


Tさんのお勧めはこっちだったのね。
これは「遊びを知らない真面目な料亭のボンボンが出張先の地方都市で美しいクラブ歌手と恋に墜ちる」という、この歌手が女装の男でなければ、ごくありふれた話なのである。
それなのになかなか味わい深いのは・・・新人といってもおそらく若くないのでしょう・・・話に大人の分別がある。

高級料亭といってもしょせん中小企業、商いの道は厳しく坊ちゃんといえども必死で仕事している。
経営に辣腕を振るう母親=社長に頭の上がらない長男の領一郎は、千種のことを興信所に調べられて初めて親に反抗、実家を飛び出して彼のアパートに転がり込み、専務の座を降りて板前修業を始めるが・・・

「領一郎さん、あなたはまず家のことを解決しないと、千種さんのご迷惑になるのでは? 愛という言葉は美しいですが、それだけでは何をするにも足りません」
と番頭に諭されて、ぐうの音も出ない。本当のことだからだ。

真面目だけどやっぱり苦労知らずのお坊ちゃま、強烈な母親、母の若いツバメともウワサされる腹の読めない番頭の一聖、もしかして自分の祖父とワケアリそうな老板前の岩永、そして千種も実は苦労人・・・個性的で華やかな脇役陣に圧倒されながら、育ちのいい人ならではの誠実さで愛を貫こうとする・・・頑張れ!坊!と応援したくなる。

女装受けだが「女装」にはあまり深い意味はない。単なるステージ衣装である。

オチがちょっとドタバタだが、地味でもいい話が書ける人なんではないだろうか?
今後に期待。
| その他のBL作家 | 23:04 | comments(0) | - |
15センチメートル未満の恋 砂原糖子

新書館ディアプラス文庫2009年

ドールハウスアーチスト(26)×建築模型制作(26)

砂原さんて『言ノ葉ノ花』みたいなファンタジーも書く人だけど、こりゃまた思いきったイロモノを・・・階段から落ちた拍子に1/12スケールに縮んでしまった!?
こんな漫画あったよね・・・『南くんの恋人』か。
買ったけどなかなか読む勇気(?)がなくてしばらく寝かしてた。

ドールハウス!そこか!
美大の同級生で、ドールハウス製作が趣味だった2人。雪見(ゆきみ)は緻密で精巧な作品にこだわり、無口で鈍感そうな伏木野(ふしきの)はダイナミックで個性的な作風を持っていたため、雪見は勝手に伏木野を敵視していた。
卒業後、雪見は建築模型の会社に入って独立、一方伏木野はドールハウスアーチストとして認められつつあった。

【ネタバレあり】
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| 砂原糖子 | 16:28 | - | - |
征服者は貴公子に跪く いつき朔夜

ディアプラス文庫2009年

ホテル経営者(30)×貴族(24)

榎田尤利の『ビューティフル・プア』が出たとき、いつきさんも雑誌で似たような設定の話を書いていると教えてくれた人がいて、本が出るのを楽しみにしていた。

ドイツの侯爵の末裔、パウルは代々続くその居城を親族の事業の失敗で手放すことになり、日本のホテル経営者・牟田(むた)に売却する。
ところが牟田は、メルヘンが売り物のお城ホテルには本物の王子様が必要・・・とパウルが城に住み続けることを求める。

「私はこの城をあなたも込みで買ったのですよ」

と意地悪く言う男前の日本人。

BLを読みすぎてる読者は、ここでこの攻めは最初から王子様狙い?とか思ってしまうのだが・・・そういう話ではない(彼にはお城に王子様が必要な理由がほかにある)。

ドイツ人と日本人、お互いの文化の違いを乗り越えて相互に理解していく・・・どっちかがどっちかに一方的に執着してというのではなく、お互いに一つずつ垣根を越え理解を深めていくうちにLOVEが生まれる、というリアルな恋愛の流れは(剛しいら以外では)BLではわりと珍しいのだ。

タイに行ったこともないのにそれらしく書ける作者なので、住んでいたことがあるというドイツの話がリアルなのにはもう驚かないが、こういう正攻法のラブストーリーをドイツ人視点で描けるところがさすがだなと思う。

ドイツ人でも日本人でも愛し合う二人の気持ちは同じ・・・なんだけど、パウルは真面目なクリスチャンなので、二人の関係がついに一線を越えるとき、牟田は変な気を使って、パウルが「神様に言い訳できるやり方」を考える。
それこそ信仰を持たない日本人的な発想で、パウルを無駄に混乱させてしまう。

パウルが信仰と恋愛にどうやって折り合いをつけるか、そしてそういうことには無頓着な牟田の態度、というのが二人の間の最後の障壁だった。

てっきり現代ものだと思って読んだので、この城が3億ってちょっと安くない?とか、婚約者がいるのに24歳でバージンってずいぶん潔癖な王子様だな・・・と思ったのだが、よく読んだら時代設定は1980年代なのだった。
どうりで携帯電話が出てこない。
ジャパンマネーがヨーロッパの城を買いあさっていた時代の話なのね。

危機に陥ったお城のお姫様を異国の騎士が救い出し忠誠を誓う、というロマンチック&メルヘンな舞台設定だけど、シュヴァルツヴァルト(黒い森)の自然を守護する誇り高き領主の末裔が、よきパートナーを得るという物語でもある。

しかし相変わらずタイトルがいまひとつ・・・惜しい。
| いつき朔夜 | 21:48 | comments(0) | - |
第18回東京国際LG映画祭
第18回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が、7月10日から新宿で開幕しました。

昨年はおっかなびっくり初めて足を運びましたが、今年は張り切ってオープニングイベントから4本見てしまった。
これから見る予定の方にはネタバレになりますが、後半の青山スパイラル上映は当日券で見ることも可能なので、感想を書いておきます。

『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』(2009年イギリス)

独特のファッションとオネエ言葉で毒舌を吐く老作家・・・日本で言えばあの人とこの人を足して2で割ったかんじ? 
スティングの名曲「An Englishman in New York」のモデルとなった実在の人物クエンティン・クリスプの晩年を描く。
70歳を過ぎてからNYに渡り、時に同性愛者のオピニオンリーダーと持ち上げられ、HIVに関する失言で干されたり・・・でもどんな人生も老いからは逃れられない。

70歳以上はみな「年寄り」だと思ったら大間違いで、70代、80代、90代の肉体的精神的な変化を見事に演じ分けるジョン・ハートの至芸に思わず「成駒屋っ!」(←屋号に意味なし)と声をかけたくなった。

ラストに流れるスティングの「An Englishman in New York」の印象的なリフレイン

I'm An Ailen I'm A Legal Alien 私は異邦人、合法的異邦人

その本当に意味するところがやっと腑に落ちた気がする。

この曲のモノクロのPVに登場する上品な老紳士が当時のクリスプ氏本人なのだそうです。実物はけっこう美しい人です。

『パトリックは1.5歳』(2008年スウェーデン)

養子センターの斡旋で1歳半の赤ちゃんを迎える準備をしていた同性愛カップルのもとにやってきたのは、凶悪そうな15歳のパトリック少年だった・・・書類のミスで15歳が1.5歳になっていたのだ。

いくらスウェーデンでも、男夫婦が子供を養子にするのは容易ではない。かわいいベビーが回ってくるはずもなくて、要は引き取り手のない育ちすぎた子供を押し付けられたわけ。

ゲイにもいろんな人がいると思うんだけど、奥さん?のゴランは「郊外の庭付き一戸建で子育てとガーデニングするのが夢なの」って人で、ダンナのスヴェンは全身にタトゥーが入ってる「昔はオレもワルだったんたぜ」という熊男
熊ダンナはゴランに惚れてるから、この「一戸建ドリーム」に付き合ってたんけど、ワルガキに新婚家庭をかき回されて「やってられないぜ」と切れて出て行ってしまう。
残されたゴランは、パトリックに新しい家族を見つけるまではと奮闘する。

スウェーデン映画って初めて(たぶん)見たけど、この国の中流階級の生活というのが興味深い。
素敵な家に素敵な庭・・・みな似たような暮らしぶりだから保守的でご近所の目もけっこううるさい。なにもこんなところで堂々と男夫婦やらなくても・・・周囲の住民も困惑するよね。

でも、たぶん医師であるゴランも自分がこのような家庭環境で育ってきたから、自分にこういう「家庭」が持てない理由がないって考えてるんだろうな。

やんちゃな旦那と優しい奥さんが養子問題を巡って対立、笑いあり涙ありのハートフル・コメディってやつです。
日本人基準だとスヴェンもゴランも体格的にSG(スーパーガッチリ)系なんだけど、なかなかお似合いのカップルで、最初は「クマゴロー」だと思ったスヴェンにも全然抵抗がなく・・・悪ガキ・パトリックがだんだん子供らしいところを見せていく演出にホロリとさせられてしまった。


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| 映画 | 23:28 | comments(0) | - |
たかが恋だろ 山田ユギ・英田サキ
 大洋図書2009年 

元同級生(27)×喫茶店マスター(27)

「原作付きコミック」というより、英田サキと山田ユギのコラボと言った方がいいだろう。人気作家どうしのタッグに期待していたが、期待以上に面白かった。

若くして妻を亡くしたコブつきヤモメの倉田をめぐって、中学の元同級生と義兄(ヤクザ)が火花を散らす・・・同級生再会とか子供とか、ユギテイストな題材を使っているが、やっぱり山田ユギの漫画とは違う。

偶然再会した元同級生が実は・・・という展開は英田さんらしいストーリーだけど、英田サキの小説に沿って山田ユギが絵を描きました・・・というわけでもなく、個性のある2人の持ち味がうまく溶け合って、まさしくコラボレーション。

「不器用な男だな」
「あんたに言われたくない」


不器用な男たちが「たかが恋」にバカみたい振り回されてる・・・タイトルの小気味よさを裏切らない話だった。

義兄のスピンオフが雑誌連載中とのことで、これも先の楽しみ。
| コミックス | 22:49 | comments(0) | - |
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