クロスノベルズ 2009年
高校生(17)×高校生(17)
「空色スピカ」に続く、高原の男子校の寮生活を舞台にしたシリーズ第2弾。
「空色スピカ」では
腹黒王子様と忠犬攻めのように見えた先輩生徒会長&副会長カップルは、実
はお姫様受けと無骨攻めだったのね・・・。
ちょっと意外でした。
峰(みね)は、子供の頃から少女と見まごう美少年でそのせいで恐ろしい目にもあっているのに、成長して女性的なところが失われていくことを恐れている。
峰の関心は、幼なじみで過去に自分の「危機一髪」を2度も救ってくれた王子様、江衛(えもり)の「お姫様」であり続けたい、彼の性愛の対象になれるだろうか、その一点にしかない。
美少年から美青年に成長し、周辺の女子高生に王子様と騒がれてモテてもちっとも嬉しくない。
成長しても女の子に全く興味がないのはやっぱり元からゲイなんだろうと思うけど、それより家庭環境に起因する「愛されたい」願望が強烈で、そのすべては男らしい江衛に向かっている。
寮生活の中で少しでも長く江衛と一緒にいるために先生までたぶらかして?策をめぐらすところは確かに策士なんだけど、江衛だけに寄せる思いは乙女そのものだ。
そして全国の
無骨攻めファンのみなさんお待たせしました。
無口で無愛想だけど誠実でやさしい江衛、この人は峰に迫られなければ、峰とはいつまでも普通に幼なじみの親友で、いつか女性と付き合うようになっていったであろう・・・中学高校の女子にはその無骨さが敬遠されていても、いずれ女子の人気はアイドル的な峰よりも江衛に集まる・・・それがわかっていて先手を打ってくる峰は、やっぱりオンナだな。
どんなに美形でもその気がなければ「ウザイ」と思われかねない執着だが、遠縁という設定で峰の抱えている複雑な事情を知っている江衛は、高2の夏、ついに峰の思いを受け入れる。
それが中学から高校という時間の経過と心と身体の成長に沿って、ゆっくりと描かれる。