出版社営業(38)×編集者(32)
SHYノベルズ2009年
クリスタル文庫の『
普通の男』(2003年)と『
普通の恋』(2006年)に書き下ろし『普通のオジサン』を加えて新書化したもの。
文庫から新書化というのも珍しいけど、『普通の恋』なんて出てからまだ2年とちょっとしかたってないのにもう新装版?! しかもBLとしてはこんな地味な話で・・・。
なぜに?という疑問は、今日も新橋あたりで書店営業してそうな的場さんの現実的な仕事ぶりを読み返して、はっと思い当たることがあった。
年度末じゃん・・・出版社は1冊でも多く点数を出したい・・・でも企画の前倒しにも限界があるから、どうしても「再編集もの」が多くなる切ない季節。
「書き下ろしを26ページもつけたら、すでに文庫を持っている読者も絶対もう一度買いますって」
部数決め会議でそんな発言が出たことはおそらく間違いない。
そこまで事情が飲み込めてるんだったら、やっぱここはSHYノベルズのファンとしては
心意気で買わないと。
しかし不思議なもので、新しい本で一気に再読してみるとまた新しい発見があるのだ。
もしかして相当手を入れた?と思って比べてみてもほとんど変わっていない・・・と思う。
かめばかむほど味が出る・・・じゃないけど、この話は初めて読んだときより読み返すたびにどんどん好きになってくる。
バツイチの38歳と勤め先が倒産して必死な32歳が職場で出会い、偶然ご近所で恋が芽生える・・・男女の関係であればたいした障害もない大人の恋愛である。
もうお互い若くはなく、挫折も知っているからこそ情熱だけではない関係をじっくり育ててゆける年頃のはずなんだけど・・・「男同士」という
想定外の壁がいい年の大人を迷走させる。
的場もいくつになっても恋愛下手な野暮なオッサンだし(そこが好き)、花島もアーチスト気質というのか、
思いこみが激しい頑固者という困った子(そこがカワイイ)。
この2人って、今市子の「B級グルメ倶楽部」の2人にも似た、
はた迷惑なバカップルなんじゃないの・・・というのも新しい発見。