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「上海散華」「上海血華」 沙野風結子
大陸の男(28)×華族嫡男(20)
ラヴァーズ文庫2008年

沙野風結子の「子蛇シリーズ」に続く新シリーズは、2冊同時に出た租界時代の上海もの。

美しく高慢な華族の姫君が大陸のならず者にかどわかされて上海に連れ去られ、無垢な体に陵辱の限りを尽くされる・・・あらすじ的にはそうも言えるんだけど、沙野さんの書く話はどんなにエロを描いてもドロドロの耽美にはならず、どこか開放的で後味がいい。

侯爵家の嫡男として誇り高く育てられてきた晶羽(あきは)は、上海秘密結社の炎爪(ヤンツァオ)に最初こそ強引に身体を奪われるが、やがて貧民窟から這い上がってきた強くたくましい男の生き方に強く感化され、中国人と情死した母親への憎しみや、華族社会のしがらみから開放されて新しい人生を切り開く・・・さほど長い話ではないけどこういうダイナミックな話を展開できる沙野さんって、やっぱり筆力があるんだなと改めて思った。

ちょっと血みどろな場面もありますが、苦手な人はそのへんはさっと読み飛ばして・・・「上海血華」へ。

 ラヴァーズ文庫2008年

炎爪(ヤンツァオ)の右腕、淋(リン)と、敵対する組織の棟梁、英冥(インミョン)の因縁話。
淋は7歳のとき、英冥によって目の前で兄を処刑されている。兄の親友だった炎爪もそのとき一緒に処刑されるはずだった。以来、炎爪と淋は兄の仇を討つことに力を合わせてきたのだが、炎爪に晶羽という連れ合いが出来たことで微妙な変化が訪れる。

時間的に「上海散華」に続いている話だが、趣はかなり違う。
兄の仇として殺さなければならない相手に、心と体をもてあそばれ快感を与えられて苦悶するヒロイン・・・というところが肝。たぶん。

冒頭、淋の兄の処刑場面とそれに続くある奇習がちょっとハードなんですが、これは「上海散華」の中で何が起きたかはわかっている場面なので、流血が苦手な方は16〜19ページを飛ばして読むといいと思います(?)。
| 沙野風結子 | 14:22 | comments(0) | - |
アオゾラのキモチ-ススメ- 崎谷はるひ
学生(19)×学生(21)
 幻冬舎ルチル文庫

20年ほど前にSF界にサイバーパンク小説が登場して、子供の頃から古典的なSF読みだった私は「さっぱりわかりませーん」とSFから遠ざかってしまったんだけど、崎谷はるひ久しぶりの書き下ろしは、20年前だったらサイバーパンクだよと思った・・・。

子供も大人もネット上で苛めたり脅したり、それが発端となって殺人や無差別テロになったり・・・20年前に想像されてた「電脳空間」とはだいぶ違うけど、確かに我々はかつての近未来に今生きているんだなと思う。

アート系専門学校に通うアニメオタクの史鶴(しずる)は、まるっきり違うファッション系の沖村に口説かれ自分も強く惹かれるけど、以前の辛い恋の経験を乗り越えられずなかなか心を預けられない・・・という甘いラブストーリーをベースに、校内での人間関係トラブル・・・web上での誹謗中傷の犯人探しという事件を、例によって饒舌な文体で描く。

アニメ制作に関するコンピューター技術の話は知らない世界だけど、何を言ってるのかわかんないってわけでもなく・・・SNSもブログも身近なものになっているので、史鶴が追い込まれている状況というのも実感としてわかる・・・わかるっていうことがある種の感慨でしたね。
2001年には宇宙の旅をしているはずだった我々は、20年前には誰も想像できなかったようなリアルとバーチャルの交錯する人間関係に生きている・・・。

若いのに人生に疲れてる史鶴が、年下の沖村に「経験豊富」なことを知られまいと振舞うところが女の子っぽくて崎谷さんらしいなあと。

史鶴の元カレのうち、幼なじみのほうは出てきたけど、もう1人のダメダメカメラマンが登場しなかったのが気にかかる。
シリーズ化は決定ということなので、次作でしょうか?
| 崎谷はるひ | 23:41 | comments(0) | - |
雪の記憶 剛しいら
ペットショップ店員(25)×精神科医(35)

クロスノベルス 2008年

待ちに待った「記憶シリーズ」の4作目。「完結編」などとも言われてたけど、あとがきには特に「これにて最後」と書かれてはいなかった。

しかし超オクテの如月先生が、10歳年下の佐々木にほだされる形で始まった2人の関係も、佐々木の奮闘努力の甲斐あって「永久飼育計画」はついに成功、一区切りついたかんじではあります。

今回はクライアントではなく、休暇に2人で出かけた山で記憶喪失の少年を拾ってしまう。そうなったら仕事でなくてもほっておけない如月先生、保護者が見つからない少年を一時預かることになり、「ここに?男2人の愛の巣に?」と佐々木が拗ねるのも無理はない。

実は如月先生も佐々木もとっても子供好きなのだ。
だからこそ如月先生は思春期専門だし、なんだかんだ言って面倒見のいい性格の佐々木も少年たちに慕われている。
お互いにお互いを「いい父親になれるのに」と思っているけど、それは「言わない約束」・・・今回の結末はずっと2人で生きていくと決めた先にある、新しい「家族の形」を示唆しているのだろうと思う。

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| 剛しいら | 23:26 | comments(0) | - |
交渉人は疑わない 榎田尤利
ヤクザ(32)×交渉人(32)
 SHYノベルズ 2008年

もうすぐ続編の発売だ!予習しなくちゃと思って、前作「交渉人は黙らない」を再読していましたが、やっぱり面白い。榎田尤利のBL作品の中にあっても、一皮むけた面白さがあると思う。

芽吹章は、ルックスがよいという点だけはBL的ヒロインだけど、1人ボケ突っ込みというか、独白も含めてオヤジなしゃべくりがノンストップな32歳。
高校時代は寡黙な美少年だったらしいのだが・・・人生いろいろ紆余曲折があり、普通なら「トラウマ年増受け」となるところが、信念を持って口八丁手八丁の交渉人となって今日に至る・・・というのが前作までの話。

待望の本作では、ださいアロハ着用、鼻歌は寅さん、事務所でカップ焼きそばを食べてる相変わらずのアッキーですが・・・この人、かっこいいわ(はあと)。BLヒロイン(受け)にあるまじきかっこよさというか。
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| 榎田尤利 | 22:37 | comments(0) | - |
ようこそ。谷崎泉
フリーター(28)×会社員(40)

海王社 ガッシュ文庫 2008年

satoさんのブログでおいしい「オヤジ受け」ものがあると紹介されていたのでさっそく食いつく。

もうすぐ41歳になる大手ハウスメーカーの課長・大黒谷正広(だいこくや・まさひろ)、別に理由はなく一人でいるのが苦ではない・・・というより快適なひとり暮らしを営んでいるゆえに独身という・・・いるいる。こういう人は周りにいくらでもいますよ。
三高とまでは言わなくても大卒で普通に正社員で地位も収入もそこそこに安定している・・・だからこそ独身生活が快適なんだよね。今はそういう世の中ですよ。
私が男だったらきっと結婚しないわ・・・いやそういう話じゃなくて、そんなよくいる独身オヤジが自分とまったく違う世界で「運命の人」を見つけてしまう話。

大黒谷がトラウマ持ちでも超エリートでもなく平凡なオヤジであることがこの話の魅力。

偶然知り合ったバーテンダーのステラ(日本人)の、へそピアスやタトゥーを見て「自分の身体を大切にしなくちゃダメだ」とウザイ説教をするところが好きだ。オヤジはこうでなきゃ。それをまたステちゃんが「ウザい」と思うどころか「そんなこと言ってくれる人は初めて・・・」と感激しちゃったりするところが、早くも「破れ鍋にとじ蓋恋愛」を予感をさせる。

もしステラが女性だったら大黒谷もご近所だからという理由で簡単に自宅には入れないだろうし、料理を作らせたりはしないだろう。
最初からゲイだと知っていても自分はノンケでステラの守備範囲ではないと思っているから何の警戒心もなくテリトリーに入れて、「おかえり」と待ってくれている人のいる生活、一緒に食事をする生活の楽しさをついに知ってしまうのである。

大黒谷に唯一結婚プレッシャーをかけるのが母親なんだけど、だからって初対面の他人にそこまで暴言を吐くかな、っていうのがちょっとやな感じだったけど、その母親に無理やり見合いさせられた相手の女が編集者で、ちょっとオーバーだけどそうそう編集者が見合いするとこういう展開になるんだよ、さすが作家さんはよく知っていらっしゃる、と思いました。

最後がちょっと尻切れというか、ついに二人が思いを遂げて、え?これでハッピーエンド?という尻すぼみな結末なんですが、これはもしかして続編を書く気満々なのでしょうか? 
| 谷崎泉 | 22:35 | comments(0) | - |
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