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きみがいるなら世界の果てでも 榎田尤利
美術商(27)×漫画家(27)
 リブレ出版BBN2008年

祝! マンガ家シリーズ完結

小冊子商法には踊るまいと思っていたのに、発売延期にすっかり振り回され・・・とにかく近くの書店で小冊子付き初版を無事手に入れました。やれやれ。

前にも書きましたが、最初に「きみがいなけりゃ息もできない」を読んだときは、「魚住くんシリーズ」で初めて榎田尤利を読み、その次くらいだったのでちょっと引いてしまい、その面白さが本当にわかったのは円陣闇丸のコミカライズを読んでからです。

その後、「マンガ家シリーズ」も続き、だんだんわかってきたのですが・・・このシリーズの大トリである本作を読んで確信を得ました。
「マンガ家シリーズ」は、マンガ家が主役の話というだけでなく、小説でマンガを描いている・・・のではないかと。

今回もまず、出張から帰ってきた東海林が、ルコちゃんの汚部屋を猛然と片付け、生物兵器と化したルコちゃんをゴミの山から救出する場面から始まる。
お約束である。
その常軌を逸したルコちゃんのだらしなさの描写はますますエスカレート、いや好調で、東海林が「バナナの皮で滑る」という古典ギャグまで披露している。

このシリーズで、エダさんは「小説でマンガを描く」ことが可能かどうかを実験してるんじゃないかと思う。
だからマンガにしても面白いのは当然で、マンガにするとそのオーバーなところがちょうどいいくらいのかんじになる。

そしてもう一つ気付いたことは、対ルコちゃんではすっかり落ち着いた大人の東海林だけど、まだ27歳、前途有望な若者なんですね。いつまでも「幼なじみ」のマンガ家の手伝いなんかやってる場合じゃないだろう・・・という社会的軋轢が、相思相愛の2人を引き裂く・・・「東海林の試練編」でしたね。グレてしまう東海林がよかったわ。

シリーズ最終巻らしく、すべてのマンガ家カップルがチラホラと友情出演、そしてタイトルどおりのグランドフィナーレが・・・
(以下ネタバレ注意)
続きを読む >>
| 榎田尤利 | 23:24 | comments(0) | - |
うそつき 烏城あきら 
トラック運転手(23)×甘栗売り(17)
シャレード文庫 2008年

これは「長距離トラッカーとサービスエリアの甘栗売り」という職業設定の魅力がすべてである、と言っても過言ではない。
話はどうということもない。つまらないという意味じゃなく。恋人同士にとっては大問題だけどはたから見れば微笑ましいような話だ。

誠は、夜逃げしたテキヤの息子で、高校を中退して山陽自動車道のサービスエリアの片隅で一日、天津甘栗を売っている。
恋人の輝夫は長距離トラックの運転手。輝夫がサービスエリアにトラックを寄せるほんの短い時間が2人の逢瀬だ。

「マコ、おそいやんか」「ごめん、今日は早かった?」「はよ乗れや」

輝夫のトラックのキャビンに飛び乗り、大急ぎで抱き合う・・・若い。青い。カワイイ。
トラック購入の借金を抱えている輝夫は、実は高速代を節約して下を走っているのだが、誠に合うためだけに、750円区間だけ高速に乗っているのだ。

こういう特別でない、どちらかといえば貧しい者どうしの恋愛ってBLでは意外と珍しいものだ。誤解して仲直りして・・・ただそれだけの話なのに、なんだかその純粋さに胸がキュンとする。

もう1編の「ひみつ」は、長距離バイク便の修平とその10年になる連れ合いの克美の話を、「うそつき」と同じ時間軸で視点を変えて書いている。
美人でしっかり者でエッチで、クールなふりして実は修平にゾッコンということを10年も隠している克美の「理想の女房(ちょっと無理してる)」ぶりがとてもよい。

| 烏城あきら | 20:54 | comments(0) | - |
禽舎の贄 水原とほる
空間プロデューサー(30代)×日本画家(24)
 シャレード文庫 2008年

「水原さんの『きんしゃのにえ』が良かったよ」と人に教えられ、手帳に書きとめようとして「きん舎のにえ」・・・「舎」しか漢字で書けなかった。トホホ。

攻めの年齢はどこかに書いてあったかもしれないけど思い出せない。
それより師匠(62)×弟子(24)の関係のほうがずっと印象が強い。

日本画家の大家でヒロイン紗希(さき)の師匠である、合田柳燕は「当て馬キャラ」と言うべきなんでしょうが、お布団シーンの8割がたはこの「ジジイ攻め」のご活躍なのだ。
60代の攻めというのが、BLにおいて非常に珍しいというわけではない。権力者に体を提供する・・・というシュチエーションではけっこうあるように思う。
でもあくまで「ヒロインがいらぶられる」ための小道具の一つであってジジイのエロがメインになることは少ない。

家庭の事情で絵を続けることが難しかった紗希を内弟子として住まわせ、事後承諾で夜のお勤めもさせている・・・立派にパラーハラスメントなんだけど、監禁しているわけでも暴力をふるっているわけもはない。
紗希も師匠と寝ることに嫌悪があるわけではなく、恋を知らない紗希は、父とも兄とも慕う尊敬の気持ちで懸命にご奉仕している・・・実はここがこの話の「萌えどころ」なんじゃないだろうか。(間違ってますかね?私)

いけないことだと思いつつ、よそから来た若い男に惹かれて心引き裂かれるヒロイン・・・読んだことないけど昔の「姦通小説」「よろめき小説」ってこういうものかな?

これが女性のヒロインだったら、さんざん世話になった恩師を捨てて「新進気鋭の空間プロデューサー」に乗り換える女を私は許しませんが・・・おしとやかで美しい「男の子」なら全然構わなくてよ(笑)。

老いてなお精力的な芸術家の若い弟子に対する執着は、年齢を重ねるほどにどんどんエスカレートして狂的になり、心と体だけでは満足できず、才能さえも自分のものにしてしまおうとしたところが、結果的に命取り。
誰に奪われなくても、これでは逃げられてしまうのは時間の問題でしたね。

でもちょっと縛ったり変な薬を使ったくらいでそんなに酷いことはしていないし(!?)、大切に育てていた紗希にあっさり捨てられて、老いとは悲し・・・ちょっと「ベニスに死す」でした。

それに比べると、かごの鳥のヒロインを逃がしてくれた今村はいまひとつ印象が弱い・・・いや、王子様としてちゃんと役目は果たしてるんですが、ジジイにイチから仕込まれた紗希を将来的にも満足させられるのか、ちょっと心配。「踏み台その2」になったりして。
| 水原とほる | 17:23 | comments(0) | - |
枕 剛しいら(同人誌)
剛しいら組 2008年8月

ここでは基本的に同人誌は取り上げないことにしてるつもりなんだけど、剛しいらだけは何度も取り上げてますね・・・それだけ作品のレベルが高い、商業誌と遜色がないということなんですが。

しかしこれは事件です!
2008年の今また、「座布団」シリーズの同人誌が出るとは!

私の計算によると、初助師匠は昭和10年生まれ。ご健在であれば今年73歳。
現役の落語家で言えば、桂歌丸とか立川談誌とほぼ同世代(えっ!)です。
小説の登場人物なのに、そもそも話の最初から故人なのに、私の心にはいつも師匠は生きている・・・そんな人物は他にはいない。

新刊の「」は、本編と同様、要の現在から始まり、初助が生きていた時代へと遡り、また現在に戻ってくるという「座布団」シリーズの基本パターンを踏襲しているのがうれしい。
しかも時間は確実に流れ、「現在」は初助が死んでから10年、回想の初助はいよいよ50代に突入している。

40代の初助に捨てられた俳優の香田は、初助の死後も「自分が最後の男だった」と信じていたけど、やっぱりそんなわけはなかったのね(ああ、かわいそうな香田)。
50を過ぎてもなお魔性ぶりを発揮している師匠・・・やっぱりなー、うんうん。

そしてもう一つのサプライズは、作者のあとがき。
なんとドラマCD化の企画があるとか!!!

ええーーーっ!
落語とか都都逸とか入れてくれるのかな??
そんなことができる声優がいるのか?
ユギ先生の描き下ろし初助師匠ピンナップとかついたら、1枚といわず2、3枚買ってしまうわきっと。

しかし・・・寒也もけっこう好きなキャラなんですが、今回も冷たい扱い・・・いつか、寒也が初助に弟子入りした頃の話が読みたいです。
| 剛しいら | 22:44 | comments(0) | - |
悲しみの涙はいらない 水原とほる
金融業(35)×高校生(17)
 ダリア文庫 2008年

久しぶりに水原とほるを読んだら、原点回帰というか、「夏陰」に近い話だった。

母親の再婚相手に犯され挙句に借金のカタにヤクザな金貸しの国枝に引き渡された遥(はるか)。
借金のカタにカラダで・・・っていう話は「またか」ってくらい多いけど、そこは水原さん、短期間とはいえポン引きをあてがって容赦なく売春営業させている。高校生なのに・・・。

しかし一晩に何人もの客をとらされて死んだほうがマシだと思いつつ、
「でも、負け犬のまま死ぬのはいやなんだ。まだ生きていたいし、ささやかな夢だってある。どうせ死ぬのなら、自分らしい人生を少しでも生きてからにしたい」と思う強さが主人公にはある。
さらにその夢とは何だと問われて
「普通に学校に行ってどこでもいいからちゃんと就職して働くこと」と答えるいまどき珍しい「まっとうさ」もいい。

不幸な境遇にも負けず、ひたむきに努力するヒロインと、自分に素直になれない「足長おじさん」の不器用な愛の物語・・・痛いのと暗いので最近あまり読んでなかった水原さんでしたが、これは最初だけ痛いけど、案外スイート(?)でした。

しかし1000万の借金のカタになるカラダ・・・若いっていいなあ。
| 水原とほる | 23:15 | comments(0) | - |
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