講談社モーニングKC 2007年
奇しくも(じゃなくてわざとなのか?)『ミシュランガイド東京』の発売日に出た、よしながふみの「ごはんコミック」。
・・・主人公の筧史朗さんがうちの夫にそっくりなのにびっくりした。
もちろん似てるのは「超ハンサムな弁護士」というところじゃなくて、買い物の仕方がそっくりなのだ。
底値チェックの厳しさといい、「ニュータカラヤ」という名前で登場する
某激安スーパーが大好きなところといい、盛りを過ぎたいちごが
2パック300円以下なのを見つけると「ジャムしよう」と言って必ず買ってくるところといい・・・こんなに毎日マメに料理はしないけど、材料費を惜しまない「男の料理」ではなく(それはむしろ私)、安い食材を使いまわす所帯じみた惣菜を得意とするところ・・・これでゲイじゃないのが不思議なくらいだ。
それはともかく・・・同棲している41歳の美容師と43歳の弁護士のゲイカップルが、毎日今日は何を食べたか・・・というクッキング漫画。毎回レシピがある。
青年誌の連載なので、BLではなく大人向けの一種のウンチク漫画?・・・青年コミック誌の読者だったことがないので(漫画年齢は少女漫画で止まっていてついに大人の雑誌には進まなかった)こういう手法の漫画が珍しくないのかよくわからない。さらにこの「主人公はゲイカップル」という設定が一般読者にどうとらえらえているのか全くわからないんだけど・・・やっぱりこれはこれでBLじゃないかと思う。
一緒に生活している2人が毎日どんなものをどんな風に食べているのか、それはとてもプライベートなことだ。
ゲイであることをオープンにしている美容師の賢二と、隠している史朗、理解してるようで理解していない史朗の親との確執など、「笑い」にしながらも40代ゲイのリアルライフが描かれて、エッチなシーンがない代わりに毎回ごはんを食べてるってかんじ。
(別に必要ないのに「年下攻め」であることが明示されてるのは、BL読者を意識してのことではないかというのは深読みか?)
「ジャム作ってる時点で普通の男じゃない」と相棒に言われてる史朗だけど、普通の男じゃないのはジャムを作るからなのかゲイだからなのかもはやよくわからない。
だけどなぜジャムを作るのが好きなのかっていう説明は、「そうそうそう!そうなのよ!」と思いっきり共感してしまった。
とにかく史朗さんにとって毎日の食事作りはストレス解消であり、確固たる己のライフスタイルなのである。
簡単で経済的なレシピばかりなので実用漫画でもある。次の巻がとても楽しみ〜。