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『EGOISTE』『 EGOISTE2』 かわい有美子
医師(36)×研修医(25)
 クロスノベルズ2004年、2005年

かわい有美子のデビュー作(の改稿版)をやっと読んだ。

2004年に改稿されたとはいえ、やはり12年以上前に書かれたという古さは感じる。
シャネルの香水エゴイストがモチーフというのが「ああ、あの時代ね」という。ちなみに続編の『Fetish』で古谷の香水がエゴイストがアリュールに変わっているところが時代の流れを感じさせる。

若き医長の古谷は、まだよく知らない新米の研修医・白井の家に上がりこみ、勝手に寝室を探ってゲイ雑誌を見つけ、それをネタに脅迫、同居を強要する。
これって今の言葉で言えば院内パワーハラスメントってやつだよね。
立派な犯罪ですよ。
でもこの白井もかなり性格に問題のある人で、25にもなっていじいじ、うじうじ、めそめそ・・・(理由はあるんだけど)いじめられっ子体質。
それでいて古谷の帰りが遅いからといって理由を問いただすこともせず、浮気を疑って・・・まあそこまではわかるけど、あろうことか古谷の親友を誘って寝てしまう。
ま、どっちもどっちだな。

あとから考えるとそりゃあんまりだよな〜と思うんだけど・・・読み始めると途中でやめられない、一気に最後まで読ませる何かがある。この人の初期の作品『スキャンダル〜疵』もそうでしたが・・・。

しかし、今となってはこの小説の価値は「阪神淡路大震災前後の神戸を舞台にしている」というところにあると思う。
愛し合ったり憎み合ったりしている人間たちの上に、最後に未曾有の天災が襲いかかり、2人は生きて愛し合う喜びを分かち合う・・・。

たまたま書いているうちに地震が起きて、そういう結末になってしまったらしいが、それだけにあの頃の神戸の記憶が生々しく蘇る。
これもまた貴重な震災の記録ではないかと。
| かわい有美子 | 23:59 | comments(0) | - |
透過性恋愛装置 かわい有美子
ホテルマン(37)×建築士(31)
 クロスノベルズ 2007年

若手建築家として脚光を浴びている北嶋は、自信満々、傲岸不遜で自分勝手、ルックスは王子様だが性格が悪すぎて女にモテるけど続かない。もちろん同性の敵多し。
・・・こういうタイプが純情でイノセントなヒロインにメロメロになって生き方を変える・・・という話はずいぶん読んだが、これはこの傲慢男がヒロインで、落ち着いた大人の男に恋をしてしまう・・・というコメディ。

少し前に、アメリカで女性の宇宙飛行士がストーカー行為で逮捕されるという事件がありましたが、人間、恋に狂うととんでもないことをしでかす。
本気で誰かを好きになったことのない北嶋は、年上のバツイチのホテルマン・牧田に恋するあまり、毎朝出勤時間にわざわざ彼の最寄り駅まで足を伸ばし、密かに同じ車両に乗って盗み見るという、中学生並みの暴走を始める・・・。

前半は北嶋の性格の悪さがいやってほど書かれていて、正直この恋を応援してやろうという気にはなれないのだが・・・朝の駅のホームでいきなり告白→玉砕というなんの駆け引きもない直球勝負に至って、いるんだよね〜こういう困った人って、と遅く目覚めた恋にもっとありえない暴挙に出た私の友人の一人を思い出し・・・。

まあ普通これで相手は引きますが・・・男だしノンケだし・・・そこから先はファンタジーだから都合よく展開する。
でも終始分別のある紳士だった牧田が、やるとなったらなんの戸惑いもなく円滑に行為に及ぶのは、むっつりナントカっていう話じゃなくて、実はバイだったとかなんとかオチが隠されているのではないかと疑ってしまう。

『上海金魚』の滝乃&佑季のカップルが脇役で登場する。滝乃が北嶋の同級生という設定で牧田を紹介する役割なのだが・・・改めて『上海金魚』を読み返してみましたが、やっぱり最後までよくできたメロドラマだと思う。
で、結局佑季ちゃんは滝乃を追って東京に出てきたのかどうか、そのへんがよくわからないんですけどね。
| かわい有美子 | 00:07 | comments(0) | - |
LOVE 40〜 剛しいら(ごじらん堂)
ごじらん堂本舗 2007年3月(コミコミスタジオの通販で購入)

5月15日はエーベルバッハ少佐の誕生日・・・いったい何歳なんだろうと今年も(私の周辺だけで?)盛り上がりましたが、シリーズものの登場人物は年を取らない、もしくはゆっくり年をとるのがお約束。

しかし・・・どんな美少年も素敵なおじサマも、大金持ちもスーパースターも、みんな1年に1歳ずつ年をとり、10年で10歳年をとる。そんな当たり前のことがですね、40歳を過ぎるとじわじわと重くなってくるわけです。どう考えても人生残り半分以下ですから。
いくら食べても減らないと思っていたおいしいお菓子が、いつのまにか半分も残っていないと気づいたときの気持ち・・・若い人には想像できないと思いますが、青い春だけが人生じゃない、黄昏ていく時を充実させるのも人生。

『許せないっ!』(1999年ラキア)の不良オヤジ白井剛の話(通称白井オヤジ本)が、同人誌で年齢を重ねながら書き続けられいるのは知っていたけど、入手できないものもあったのでいつかまとめて手に入れたい思っていたら、このほどこれまでの総集編が出た。こういうところ、ごじらん堂は実に気前がいい。

『許せないっ!』は1999年3月の出版ですが、仮にこれが1998年設定の話としてそのとき40歳のオヤジだった白井は来年50歳。高校生だった息子と愛人も来年26歳の立派な大人ですよ。
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| 剛しいら | 08:27 | comments(0) | - |
艦方氏の苦悩 長江堤
公認会計士(34)×大学院生(23)
ショコラノベルズ 1996年

山藍紫姫子を読んでからどうも調子が狂って、半端にシリアスなものが最後まで読めない・・・こういうときはバカバカしいやつで口直し。

公認会計士の艦方将(ふなかた・しょう)と美大の院生の裕樹(ゆうき)は同居3年。どこからどう見てもバカップルでその相思相愛ワールドは揺るぎがない。
艦方はそのルックスと公認会計士というステイタスが世間に抱くイメージどおりの「いい男」を演じるのに命をかけている見栄っ張り男。
その必死さがカッコ悪いんだけど愛すべき男ではある。そしてそんな恋人を「ルネッサンス期の理想の男性像」といつも目をはあとにしている裕樹もどこか世間ずれした不思議ちゃん。
そんな2人のずっこけた(←死語)日常のドタバタである1冊目は正直それほど面白くないんだけど、続編の『艦方氏のさらなる苦悩』(1999年)で、その見栄っ張りゆえに友人の借金を背負い、豪華マンションの住人から一気に貧乏のどん底に転落するところから面白い。

こんな金勘定に細かい話って読んだことない。
まず友人に融資する5000万・・・BL的金持ちのスケールでいうとそんなたいした金額じゃなさそうだが金に関してはどこまでも具体的でリアル。
マンションを6000万で売って残りのローンを相殺し、ベンツも売って郊外の築年数不明の家賃3万8000円のボロアパートに引越し、社員の夏のボーナス300万円のためにブランド品を質に入れる。

たいして苦労をしたことのない裕樹も、持ち前の素直さと艦方への愛で、「すて奥」もびっくりのやりくり技を見せる。ディスカウントショップで12ロール178円のトイレットペーパーを見つけて大喜びする・・・これはもうボーイズラブ小説じゃない。でも作者の本職はいったい何なの?と思うくらい、金の話がとっても面白いのだ。
たとえば、サラ金から借りるくらいなら質屋のほうがいいとは聞くがそれは具体的にどういうことかとか、中古ベンツの相場とか、いろいろためになるですよ。

一番感心したのは、いよいよ金に困ってアルバイトを考え始める裕樹に、大学の友達が近づいていわゆるマルチ商法に勧誘されるところ。裕樹は世間知らずなので「なんていい話なんだ!」と慶び勇んで艦方に報告する。
すぐに状況を察した艦方は、裕樹を傷つけないようにかんで含めるようにマルチのカラクリを教えて裕樹の目をさまさせる。
東京の大学に進学予定の方は、ぜひここを読んでおいてもらいたいね。

なんかこう、BL作家として力の入れどころがずれてるんじゃないかという気もするけど・・・そうか、小林典雅ってこの系統の作家かもしれない、と思ったりもしました。

| その他のBL作家 | 22:17 | comments(0) | - |
流れゆく想い 剛しいら
会社社長(34)×小学校教諭(23)

ビブロス ビーボーイスラッシュノベルズ 2004年

ビブロスからリブレ出版に移行してもBBNとスラッシュノベルは別立てのようですね。どういう違いがあるのかよくわかんないんだけど、『新宿探偵』はちょっと不思議なテイストの剛しいらだった。
そういえばビブロス時代のスラッシュノベルにもう1冊あったっけと引っ張り出してきたのがこれ。小学校の美人先生が教え子のヤモメ父親によろめく話だったっけな・・・と思いつつ読み返してみたら思ってたより味わいの深い話だった。

新任の教師、朝人(あさと)は陰湿ないじめを受けてもじっと耐えている大介を気にかけている。大介の保護者は代々この町で橋の建設を手がけてきた老舗の建設会社の社長・橋場大典(ひろのり)だった。

妻と死別した大典は、橋場建設の跡取りである一人息子の大介を「男は泣き言を言うもんじゃない」と厳しく育てている。
大勢の男たちを束ねていく職業の家に生まれ、大典自身も父親にそう育てられてきたのだ。母に死なれ妻に死なれても、けして泣き言を言わず誰にも甘えず・・・。

そうなのだ。大介は大典がそのまま大人になったようだ。
聞き分がよくて、辛抱強く、頭もよくしっかりしている。理想の男の子はそのまま理想の大人になったけれど、大切なこと一つ忘れている。
男だって弱音を吐いていいのだ。


心やさしい朝人は「男らしさ」を全面的に否定しているわけではない。むしろ自分にはない大典のマッチョな部分にところに惹かれていることこもある。
しかし「男はこうあらねばならぬ」という時代錯誤の規範に苦しめられているのは、ほかならぬ本人ばかり・・・その重荷をやさしくおろしてくれる美人先生に、パパも息子も(最後は爺も)すっかり懐いていくのである。

この「男らしさってなに?」みたいなテーマは、剛しいら昨年のヒット『海に還ろう』のテーマにも通じる。
町の中心を流れる川と、その川にかかる由緒ある橋がストーリーを動かし、剛しいらの中では相当ロマンチック度の高い話である。

しかし・・・あれから3年で大介も13歳。あと3年で16・・・すぐにオヤジと先生を取り合うようになりそう・・・。
| 剛しいら | 23:47 | comments(0) | - |
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