『ごはんを食べよう』 1996.4
『I NEED YOU』 1996.8
『天使の降りる夜』 1997.1
『ごはんを作ろう』 1997.8
『この恋は永遠に』 1998.8
『おうちを建てよう』 2000.4 以上白泉社花丸ノベルズ
外食産業支部長(31)×部下(25)
またパリの空の下に帰ってしまった師匠からまとめて借りた『ごはんシリーズ』一気に6冊たいらげました。
これを読む前、定期的に読みたくなる剛しいらの『ドラマティックな七日間』を読み返してたんだけど・・・やっぱり私って所帯じみたロマンスが好きなのね。
しゃれたレストランで素敵なディナーよりも、おうちに帰って冷蔵庫の中の賞味期限切れの焼き豚でチャーハンかなんか作って「大丈夫だよ」なんて言って食べてる二人のほうが幸せそうに思える。
バツイチ子連れヤモメの上司と部下の同棲生活。
10年以上前のシリーズだけど、そんなに古い感じがしない。
一言で言えば、コブ付き男と再婚したヒロインが様々なシュラバを乗り越えて、家族を作っていくホームコメディ・・・これが男女だったらイマドキ昼ドラのネタにもならないかもしれないけど、どんな熱愛の2人にも親があり兄弟があり・・・2人だけで生きているわけではない、というところに生まれるドラマは永遠不滅のテーマ。
とりあえずこの2人には、はるか(5歳)の保育園の送り迎えという最優先課題がある。
このシリーズの面白さは、ヒロイン月島の性格を「小悪魔」にしたところに勝因があると思う。高飛車な憎まれ口で相手をへこます減らず口野郎。真面目な玖珂は翻弄されっぱなし。はるかの存在が徐々に2人を近づけるのだが、ベッドに誘うのも主導権を握るのも月島。
このヒネた天邪鬼ぶりは、実は情の濃い甘えたがりの本性を相手に悟らせまいとするバリアなのだが・・・それに気付いても気付かないフリをして、月島のわがままに振り回されてやる玖珂っていいヤツだな。
玖珂は職場では出世頭で、ファミレスの商品開発という仕事柄、料理も上手で掃除洗濯アイロンかけまでやってくれる・・・その上、家族を幸せにするために一生懸命働くのが男の使命と信じてモーレツに働くという理想の旦那である。こういう単純な思考の真面目な男が、ゲイでもないのに男に惚れてしまう・・・っていうのが、BL的なトリック。
そして男に惚れたらもうグダグダ迷わないのだ。(国枝彩香の『未来の行方』の健人と似ている)
最後にはお互いの親を説得して、郊外に犬の飼える夢の「庭付き一戸建て」を建てるところがこのシリーズのゴール地点になっている。
絵に描いたような幸せってやつ? 男同士じゃなかったら面白くもなんともない結末だけど、「許されない関係」だからこそ「フツーの幸せ」が大事ってわけね。
この作家ははじめて読みましたが、ものすごく上手いというわけではないけど、テンポよくサクサク読める文章で、1日2冊のペースで読んじゃいました。