ヤクザ(28)×検事(29)
ラピス文庫 2006年
キーボードシンドロームというのか・・・小学校のときから書いていた漢字が突然書けなくなる症候群が深刻で、読んだ本は一度は手書きでタイトルと作者名を手帳に書きつけるようにしている。
それにしてもこの人のタイトルは難しい漢字が多い・・・「蛇淫の血」に続く「虫偏シリーズ」は「くものしとね」。何も見ないで書けます?
「黒ラキ」なきあと、BL業界において「ポルノ路線」を最も強く打ち出しているのはこのラピス文庫かもしれない。
作者あとがきによると「意味ある3Pを書きたかった」ということだが、そういえばBLを女性向けのポルノグラフィとして見たとき、3Pは意外と少ない。少なくとも男性向けのポルノにおける3Pや乱交の比率よりはずっと少ないのではないかと思う。
やっぱり女性は「一人に大切にされたい」のであって、ファンタジーであっても3Pはあまりお好みではない・・・のかな?
とにかく3Pにしても「意味ある」ことが重要なのだ。
この人の堂々とポルノであろうとする挑戦はなかなか潔い。かなり濃厚なエロが書ける人だが・・・どれほどエロくても漢字タイトルがドロドロでも、その読後感はすっきりとている。それは・・・誰も不幸にならないから。
真面目で優等生に見えるが、実は自滅タイプの美しい検事・神谷は自分と組んでいる事務官(妻帯者)に「片想い」している・・・それを高校時代の後輩で今はヤクザの久隅に簡単につかまれてしまうという無防備さが自滅タイプたる所以か。
弱みを握られているにせよ、久隅の「蜘蛛の巣」に自らフラフラとつかまりに行く危うさが色っぽいヒロインで、わざわざ3Pに持っていかなくてもいいような気がするが・・・とにかく「盛り」がいいです。
久隅が「岐柳組」関係ということで「蛇淫の血」とちょっとだけリンクしていますが・・・私が気になるのは次の本のタイトルです。
「蚯蚓の枷」とか?「蜻蛉の憂鬱」とか?
考え始めるとけっこう時間がつぶれます(笑)