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八月の略奪者 いつき朔夜
高校生(17)×学芸員(23)
  新書館ディアプラス文庫 2006年

最初の30ページくらい読んだところで、ううむ、この人はやっぱりかなり上手いんじゃないかと思った。まだ3冊目ですが。

6歳年上のもの静かな学芸員・香月と高3の夏休みを目前にした浩紀。博物館の学芸員というのが珍しいけど、競馬の騎手や妻に逃げられた子連れリーマンほど特別ではない。

文章が上手い、オリジナルな世界を生み出す想像力がある・・・それだけでも十分にあればそこそこの小説は書けるだろう。でもこの人は上手い作家だなあ・・・と思うのにはまた別の要素がある。
「八月の略奪者」の最後の1行・・・

「それを聞いていたように、頭上で夏の名残の蝉が鳴き出した」

これを読んだとき、榎田尤利の「夏の塩」の最後の1行と同じくらい感心してしまった、と言ったら褒めすぎだろうか。
でもこの人には「作家のセンス」というものが装備されているような気がする。

高3なのに進路の決まらない浩紀が、校外授業の博物館で博識な青年と出会い、それまで否定していた自分の個性を認められ、成長していく・・・BLだから恋愛関係だけど、たとえ恋愛関係を差し引いても、一人の少年が大人に成長していく・・・いわゆるビルドゥングスロマンの体裁がある。

ふざけていてアンモナイトの化石を破損してしまい、「弁償すればいいんだろ」と「あくまでマジにならないポーズ」をとる浩紀を、香月は静かに諭す。

「君はたとえば小学校の入学祝いにもらった筆箱を今でも持っていますか? たかだか10年のものだって、壊さずにとっておくのがどんなに難しいか・・・。君は今何億年という時間の堆積物を壊したんですよ」

なかなか教育的な話ではないか。
「子供に読ませたいBL」というのがあるとすれば、こういう作品ではないだろうか!?

デビューして3年で3冊・・・。もっとガツガツ書いてほしいですね。
| いつき朔夜 | 23:55 | comments(0) | - |
あざやかな恋情 崎谷はるひ
画家(29)×駐在(33)
 幻冬舎ルチル文庫 2006年

ルチル文庫で仕切りなおした慈英×臣の3作目・・・正直「え!まだ書くの?このしつこさが崎谷だなあ」と思ったんですが、前2作とはまた違うテイストの「農村BL」になった。

テレビ東京で年に一回くらいやる「日本の駐在さん」っていう特番が好きなんですよ。人のよさそうな駐在さんがしっかり者の嫁さんにサポートされ、住民のよろず相談係りとして親しまれている・・・事件なんかなさそうな田舎でもけっこういろんなことが起こる・・・職住接近だからこその都会にはない地域の絆と家族の愛・・・というヒューマンなテーマのBLバージョン!?

こんな美形の駐在さん(さすがに今回はラファエロ前派とは言ってない)がいたら楽しいよね。おまけに連れ合いは男前の画家だし(もちろん内緒だけど)。
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| 崎谷はるひ | 23:44 | comments(0) | - |
蜘蛛の褥 沙野風結子
ヤクザ(28)×検事(29)
 ラピス文庫 2006年

キーボードシンドロームというのか・・・小学校のときから書いていた漢字が突然書けなくなる症候群が深刻で、読んだ本は一度は手書きでタイトルと作者名を手帳に書きつけるようにしている。
それにしてもこの人のタイトルは難しい漢字が多い・・・「蛇淫の血」に続く「虫偏シリーズ」は「くものしとね」。何も見ないで書けます?

「黒ラキ」なきあと、BL業界において「ポルノ路線」を最も強く打ち出しているのはこのラピス文庫かもしれない。
作者あとがきによると「意味ある3Pを書きたかった」ということだが、そういえばBLを女性向けのポルノグラフィとして見たとき、3Pは意外と少ない。少なくとも男性向けのポルノにおける3Pや乱交の比率よりはずっと少ないのではないかと思う。
やっぱり女性は「一人に大切にされたい」のであって、ファンタジーであっても3Pはあまりお好みではない・・・のかな?
とにかく3Pにしても「意味ある」ことが重要なのだ。

この人の堂々とポルノであろうとする挑戦はなかなか潔い。かなり濃厚なエロが書ける人だが・・・どれほどエロくても漢字タイトルがドロドロでも、その読後感はすっきりとている。それは・・・誰も不幸にならないから。

真面目で優等生に見えるが、実は自滅タイプの美しい検事・神谷は自分と組んでいる事務官(妻帯者)に「片想い」している・・・それを高校時代の後輩で今はヤクザの久隅に簡単につかまれてしまうという無防備さが自滅タイプたる所以か。
弱みを握られているにせよ、久隅の「蜘蛛の巣」に自らフラフラとつかまりに行く危うさが色っぽいヒロインで、わざわざ3Pに持っていかなくてもいいような気がするが・・・とにかく「盛り」がいいです。

久隅が「岐柳組」関係ということで「蛇淫の血」とちょっとだけリンクしていますが・・・私が気になるのは次の本のタイトルです。
「蚯蚓の枷」とか?「蜻蛉の憂鬱」とか?
考え始めるとけっこう時間がつぶれます(笑)
| 沙野風結子 | 22:08 | comments(0) | - |
不埒なモンタージュ 崎谷はるひ
謎の男(35)×高校生(18)
 ダリア文庫 2006年

大人と未成年・・・たとえ合意の上であっても淫行条例違反である。なので、そんなに好きなカップリングではないのだけど・・・これは子供が大人にひたすら迫って迫って迫り倒すというところが面白い。

家族から疎まれて孤立している(と思い込んでいる)高校三年生の未直(みすぐ)は、一大決心で無謀な二丁目デビュー・・・危ないおじさんに連れ去られそうになったところを助けてくれた、背の高いコワモテの男・三田村に一目ぼれ。

ケーバンとアドレス教えて教えてとしつこく粘り、ついに三田村が根負けして「メル友」認定になって有頂天の未直。

仕事に忙しい大人の男が、高校生のくだらないメールに返答するのがどれくらい面倒なことか未直だってわかっている。だからあまり長文メールを送らないように、メールは1日5通以内・・・と自己規制しているところがいじらしい。
18歳の初恋は、半分子供で半分大人。無邪気でバカな子供を装っていても恋は苦しい・・・。

知識と情報はありすぎるほどあるネット社会の危うい子供と、正体不明でリアルな大人とのリアルな初恋・・・単純な話のようでなかなか深い。
三田村が未直に隠している本当の職業は、わりと簡単に推測できちゃうんですが・・・、ぶっきらぼうでガサツなようでも、愚かな子供の言うことを否定せずきちんと聞いてくれる。
そんな三田村に未直は本能的に「この手を離してはいけない」って思うわけですね。

もちろん崎谷ですからエロも大盛りですが、三田村のオッサンぶり(35歳なのに・・・)と未直の「変なところでマニアック」なところが妙におかしくて、あんまりヤラシーかんじはなかったです。
| 崎谷はるひ | 00:48 | comments(0) | - |
きみがいなけりゃ息もできない[新装版] 榎田尤利

リブレ出版BBN 2006年

やっぱ買っちゃいましたよ。
新装版カバーの東海林に足の爪を切ってもらっているルコちゃんがえらくかわいくて・・・もう1冊あってもいいかもなー、とは思っていたのですが・・・前のは持ってるし、1050円だしどうしようかなー・・・と迷ってたら、アマゾンでもbk1でもあっという間に売り切れたので、なんだか煽られちゃって・・・。本屋4軒探しちゃったよ(ちなみに結局リアル本屋では見つけられず)。

新装版に収録されていた二人の学生時代の話、「きみがいたんじゃ転居もできない」(雑誌発表)が、思ったよりボリュームがあって(44P)面白かったので納得。
二人は小学校から中学まで一緒で、高校では「天地ほど成績が違ったので」別々になり・・・それで大学で再会って、普通に考えたら不思議なんだけど「美大」だからアリなのね。
ルコちゃんの「汚さ」「変人ぶり」も、美大の風景としてはサマになってて(?!)、むしろ東海林が浮いてるかんじがする(笑)。
| 榎田尤利 | 23:46 | comments(0) | - |
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