講談社ホワイトハート文庫 2003年
北海道は寒い。
そんなことはわかりきってることなのに、こぶしの花も咲き始めた温暖な神奈川にいったん帰ってまた戻ってきたら雪。それも2日間吹雪なわけ。
もー寒いのなんの。
北国の厳しい冬を思い知りました・・・はい。
正気に戻れば「そんな男いないよ」「そんな話ありえない」と思う話でも、読んでるときには忘れさせてくれる、それがBLの悦楽。
っていうか、私はそういうタイプの作家を好んで読んでるわけですが、例外もあり。
遠野春日は正気に戻る暇を与えない。
最初から最後まで「そんな男いるわけないじゃん」という意識が持続したままで読んでますね。
正直、この人の本で最初の数ページでリタイアしたものも何冊かあります。
しかしひとたびこの「ありえないジェット気流」に乗ってしまうと、どこまでも飛んで行く気持ちよさがあるのだ。
この話は一人でも十分過ぎる「御曹司」がなんと5人も出てくる。
政界の御曹司で区議会議員
財界の御曹司で青年実業家
大物フィクサーの孫で大学生
日本舞踊宗家の御曹司で大学生
組長の次男で金融業
唯一の平民?が区議会議員の秘書兼恋人(これがメインのカップル)。
この御曹司たちが毎週金曜日の夜集まって「お茶を飲みながら新聞を読む」ための紳士倶楽部を結成、そのためだけに駒場に洋館を一軒買ってしまう。
そして新聞記事で見つけた「ホモ痴情のもつれピアニスト自殺未遂事件」・・・赤の他人の意趣返しに乗り出す。
少年探偵団ごっこの御曹司版?
なんでこの人たちこんなに暇なの?
区議会議員がそんなことやってていいの?
そういう疑問符は片時も脳裏から去らないにもかかわらず、最後まで読んでしまった。
メインカップルが「意地っ張りの攻と貞淑で尽くすタイプの受」という「情熱シリーズ」と同様のパターンだったからかな。(あんまり理由になってない?)
よくも悪くも遠野春日は非常にBL作家らしいBL作家だと思う。
続編の「封印された手紙」は「日光中禅寺湖・美少年幽霊怪奇事件」の解決に乗り出す御曹司たち編で、途中あやうく遭難しかけたけどなんとか制覇。
「遠野春日を読む」という行為は、私にとって危険な冬山登山みたいなかんじ。
いつどこで遭難するかわからないけど登らずにはいられない・・・そこにBLがあるから。か?