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小説家は宣誓する 菱沢九月
 徳間書店キャラ文庫2009年

小説家(30)×コック(25)

「小説家シリーズ」の完結編?! 今ごろ??
っていうか、あれって2冊で完結してたわけじゃないんだ。

「小説家は懺悔する」(2005年)
「小説家は束縛する」(2005年)

とりあえず自分のブログ記事で復習してから読んだら・・・小説家を描いた小説としても、BLとしてもとてもいいんだな、これが。
あらためて1冊目から読み直し、もう一度完結編を読み、また1冊目に戻り・・・ただいまループしてます。

小説家の佐々原と料理人の律。

この二人って、いわば「見合い結婚」だったんだよね。
二人の辛い過去を知っている共通の友人が、うまくいくんじゃないかと思ってくっつけたら、本当にうまくいっちゃった、みたいな。

紆余曲折の末、律にも厨房での仕事復帰を認め、共働き生活も安定してきた1年後、佐々原が大きな賞を取って、身辺が騒がしくなる。

律は小説を読まない人なので、佐々原の小説も読まない。
そういう人は多いしむしろ健全だよね、と私は思うけど、小説家のパートナーとして自分はふさわしいのかとか再びグルグルし始めたときに、熱心に口説いてくる年上の編集者にうっかりときめいてしまって、罪悪感を感じてしまったり。

といっても別に佐々原に浮気を誤解されて・・・みたいな、ありがちな話ではない。

今回は、律の話を書いているようで、「小説家の生き方」とはいかなるものか、ということを書いている。

周りから「佐々原の小説が変わった」と言われるようになり、律は、いわば「無頼派」だった佐々原が、自分と一緒にまともな生活するようになったことが、作品に影響してるんじゃないかと気に病むのだが・・・佐々原は純文学作家ではない。

そもそもは食べていくために小説を書き始めた人で、基本的には生活のために書いている。
だから、我が儘なようでも、必要とあれば人前にも出るし、ちゃんと営業活動もしている生活人なのだ。
そして律はすでにそんな佐々原の人生の一部になっている。

「俺の一部だって言っただろう? もう切り離せないんだ。俺の引き出しにはおまえが入っちまってるし、俺が書く感情にはおまえの気配や匂いや温度が混ざってる」

「本気で惚れてんだよ。一回好きになったらもう終わりだ、そいつがいないと夜も日も明けない気分になる。俺にとってのおまえはそういうものなんだよ」

「書いてる間は机の前に自分しかいない」というのは、おそらく作家の実感だろうと思う。
自分だけを元手に死ぬまで書きたい欲望を持ち続けるために、小説家は宣誓する。

「俺にとって一番大事なものが書けるまで一緒にいてくれるか?」

つまりこの完結編は、料理が上手くて気が利いて、エロくて可愛い小説家の恋女房、律に捧げる「愛の賛歌」なのである。
| 菱沢九月 | 22:38 | comments(0) | - |
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