『二遊間の恋』(文春文庫1995年)
ピーター・レフコート著/石田善彦訳
野球オンチの私でも大丈夫でしょうか?と聞いたら、問題なしということでチロさんからお借りして挑んだ
大リーグ小説、面白くて寝る間も惜しんで一気に読んでしまった。
(以下出版社のあらすじより)
ランディ・ドレフュスは長打力、打率ともに抜群、守備もまた華麗という球界を代表する名遊撃手だ。
ある日シャワー・ルームで、鉄壁のコンビを組む名二塁手D・Jの褐色の裸体を見たとたん、体の芯から湧き起こる名状しがたい感情に戦いてしまった―全米をゆるがす大スキャンダルと、一徹老新聞記者ゾラの活躍の始まりだった。
この「名状しがたい感情」が何であるのか自分でわからず、1時間175ドルも取られる精神科医にかかるところがいかにもアメリカ人で笑える。
しかしアメリカのゲイって大変だなあ・・・。
ラブラブな関係になった2人は、ダラスのデパートの試着室で
情熱的なキスしたところを監視カメラで撮影され、その場で逮捕されてしまう。
そんなことってアリなのか?!
「メジャーリーグのスター選手」が「ホモ」しかも「白人と黒人」・・・そのニュアンスは日本人にはいまいちピンとこないが、大統領まで巻き込む大スキャンダルとなり、2人は野球界を永久追放されてしまう。
「野球はただのスポーツではない。野球はこの国でもっとも重要視されている価値観を象徴するスポーツであり、その根本にあるのはヘテロセクシャルな関係と一夫一婦制だ」
へ〜そうなんだ。
美しい妻と双子の娘のいるランディは、大邸宅に住むセレブなのに、着るものはいつもラコステのポロシャツの色違いで、ジャンクフードを好む「アメリカ版普通の男」、一方D・Jは着るものにもこだわりのある知的でセンスのいいゲイととして描かれる。
2人の関係は、恋に狂ったランディの一方的な求愛から始まるが、いずれこの関係は2人を破滅に導くと予感しながらもランディの情熱を受け入れるD・Jの人柄に魅力があり、ラブストーリーとしても楽しめる。
最後まで「
二遊間ってどのあたり??」と思いながら読んでた私でも充分面白く読めたが、「
2人はまるで一心同体」といわれるファインプレイの描写もふんだんにあるので、野球好きの人にはもっと楽しめると思う。
残念ながら文庫は絶版のようですが・・・これって、西田東あたりがコミカライズしたら面白いBLになりそうな気がする。