作家(29)×料理人(24)
徳間書店キャラ文庫 2005年
帰省には荷物にならない文庫本を・・・と思ってキープしていたシリーズ2冊。
作家(または漫画家)とハウスキーパー。これもおなじみの設定だが、まず作家が攻か受かで大きく違ってくる。
これは作家が攻なんだけど、ヒロインはプロの料理人である。
プロの料理人が「受」ってのも珍しくないですか? プロにおいしい料理を作ってもらえるのは圧倒的にヒロインの特権のはず。
この作家の『好きって100回言ってみな』は、パテシエ攻だけど、ケーキが苦手なヒロインのためにいつもおいしい料理を作ってくれる。
さらにこのヒロインは年下だけど男遍歴は豊富。それも奔放なのではなく、男運がないというか男を見る目がないというか「ダメな男」に尽くして逃げられたり捨てられたりする「底の浅い恋愛体質」。
同棲していた雇い主でもあるレストラン店長に夜逃げされ、ある日突然仕事も住むところも失った律には、いつも彼の身の上を心配してくれる親友の克己がいる・・・というと実はこの親友が本命?と、先読みしたくなるが、本当に親友なのだ。
傷心の律は、克己の兄から人気作家の家に住み込みの仕事を紹介される。
男に捨てられたゲイということを承知していた作家の佐々原は、その日のうちに律を抱く。作家の好奇心で抱かれているだけだと思いながらも、捨てられて心が寂しい律は佐々原を受け入れてしまう。
そんな関係から始まった二人が、お互いをかけがえのないパートナーと認めるまでの話。
親を早くに亡くしている律にはファザコンなところもあるが、家庭に恵まれていなかった分、いつも自分の居場所に確信を持てなくて次々にダメ男に尽くして甘やかしてしまうタイプ。いるよね、そういう人(女)って。
わがままで傲慢で嘘つきな売れっ子作家、実はヘビーな過去を負っている男が、律に甘え律の居場所になる・・・理想的な割れ鍋にとじ蓋カップルの誕生である(つづく)。