ダリア文庫2007年
上司(30)×新入社員(23)
意外と
食わず嫌い王な私、名倉和希を読んだことがないと言ったら、おっとそれはいかんよとCさんが
名倉和希セットを貸与してくれた。
大手商社の新入社員・由耶(ゆうや)は、上司の高村に憧れ恋している。
高村がじきに北京支店に転勤になることを知り焦った由耶は、酔った勢いで告白、転勤までの「期間限定の恋人」にしてもらう。
七つも年上で社内一の出世頭である高村を、由耶は盲目的ともいえる一途さで、ひたすら想っている。わずかでも機嫌を損ねたくない。こうして会ってくれるだけでも幸せだ。
女だったら「ウザい」の一言の健気受けというやつだが、実は由耶は社長の隠し子で、同じ社内にいる御曹司の藤代の異母弟という
隠し玉がある。
由耶は天然というか前しか見てないというか、異母兄の藤代が今日は懐石、来週は創作イタリアンの店でお食事と、女の子をデートに誘うようにベッタベタに構うのも、「お兄ちゃん大好き」だから喜んでついていく。
それが誤解を招き、高村から(ベッドで)ヒドイ扱いを受けてるのにわかってない・・・。
後半は高村が産業スパイの疑いをかけられ、その疑いを晴らすために由耶が会社を休んで行方不明の派遣社員を捜索するというハイパーな展開になる。
健気な受けが攻めに誤解されてかわいそうな目にあう→それでも一途に尽くす→攻めの危機を助ける→誤解が解けて激甘ハッピーエンドというチャート通りのBLなのだが・・・すっかり乗せられました。
話の運びがうまいのと、キャラに嫌みがないのがいい。
由耶は健気だけど行動力があって潔いし、父親が外で作った子供である由耶を「たった一人の弟」として可愛がる藤代も、結局弟の幸せのために手をさしのべる「いい奴」だ。
高村が30歳にしてすっかりオヤジなのは相対的なもので仕方ないとは思うけど・・・。
しかしこの会社、社員(男同士)が外で食事をしているところを目撃されただけで、翌日には「あの2人恋人?」というウワサ話が全社を駆け巡る。
なんて楽しい会社なんだ!(商社ってそういうもの??)