気がつけば5月、そしてゴールデンウィークも後半になってました・・・。
あれからずっとARUKUさんの「虹色村のチロリ」について何か書こうとひと月以上考えていたんだけど、結局うまく書けず・・・ギブアップ。
気を取り直して、凪良さんの新レーベルからの新刊でリスタートします。
リリ文庫2011年
紫外線にあたると皮膚が火傷状態になる病気の新名(ニーナ)は、ひどいいじめで小学校から不登校になり、ずっと引きこもって暮している。
学校にも行けない、就職もできない、恋愛も結婚もできない・・・18歳にして人生に絶望したニーナは、夜の公園で知り合って自分に懐いている小学5年の陽光と、ブサイクな野良猫を車に乗せて、星降る夜に無免許運転で走り出す・・・。
「ニーナ、これからどこに行くの?」
「この世の果て」
でもニーナはこの世に果てなどないことを知っている。
二人の出逢いから一夜の家出までを描いた「真夜中クロニクル」、その後、16歳と23歳になった二人の「月が綺麗ですね」、19歳と26歳の「LOVE SONG」の3話から構成されている俳優の卵と音楽家の卵の成長物語。
11歳にして美しい年上のニーナに恋をした陽光は、早く大人になってニーナを守れる男になると誓う。
「年の差・年下攻め」にはよくある設定だが、「大人になる」ってそんなに簡単ではない。
陽光は有名な子役だったが、そこから大人の俳優への転換がうまくいかず、芽が出ない。
ニーナは、ソングライターとして仕事を始めるがこれも容易な道ではない。
ありふれたBLだと、どっちかがわりと簡単に成功を手にしてしまい、あとはお互いの恋愛感情の話になるものだけど、若い二人の足元は未完成で未確定で、相手のことを見失ってばかり。
そんな若さの悪戦苦闘を書いてる。
本人たちは悩んでるんだけど、読んでるほうは「若いって素晴らしい」と思ってしまう・・・これが凪良さんのうまいところ。
大人目線で二人を見守る脇役もいい。
ブラジル人の彼氏とバリに旅立ってしまった親戚のミツさんもよかったが、ニーナを口説きまくる映画監督の唐崎、このまま監督に一度食われてしまえ、と思うくらいいい仕事ぶりでした。
11と18で出会って、お互いにお互いしか知らない純愛カップルなところもいい。
もしこの作家をまだ読んだことがなかったら、この話から読むのがいいかもしれない・・・と思うほど、文句のつけどろない会心作。