オークラ出版アクア文庫2006年
「姫巫子は王の腕に抱かれる」が面白かったので、この人は典型的なBLよりファンタジー的なものほうがいいかもと思い、全2巻のSFものを読んでみる。
二千万年の未来、辺境宇宙の調査に出た宇宙船の乗組員アスラエールが、未知の惑星の砂漠で遭難、美しい姫君ならぬ美青年トゥリアに助けられ恋に落ちる・・・。
ボーイズラブにはなんでもある・・・ハードボイルド、探偵小説、任侠ものにメロドラマ・・・そういえばエイリアンもの(「愛を食べても」)は読んでるけど、本格的な宇宙旅行ものってこれが初めてかも。
舞台が砂漠から宇宙になっただけで、冒険とロマンス、陰謀と正義のいわゆるスペースオペラのボーイズラブ版。
恋の障害は「男同士」でも「異星人同士」でもなく、片道30年という「
超遠距離」であること。2人が連れ添うためには、アスラエールがこの星に残るか、トゥリアを連れて故郷に帰るしかない。
時間と空間を越えて広い宇宙を旅するようになっても、人は些細な憂鬱から逃れることはできない・・・というようないいセリフがあったんですが、上下巻2冊の中からどうしても探し出せず。
こういうの読んだの久しぶりだなあ〜。
思わず萩尾望都先生の宇宙ものを『11人いる!』から順次読み返してみたりして・・・やっぱり『11人いる!』はいつ読んでも
完璧な傑作だ・・・と思いつつ、初めて読んでから約30年たっていることにビックリ。
一瞬、遠い銀河からワープして帰ってきたような気分になりました。