書店オーナー(34)×シルヴァー・デザイナー(25)
ビブロス ビーボーイノベルズ2001年
松岡なつきシリーズ4作目、今のところすべてアメリカ人×日本人なんですけど・・・もしかして「外専」ってやつですか?(違う違う)。
シルバーアクセサリーのデザイナー&クラフトマンとしてNYで修行中の藍(ラン)には、年上で成金の恋人がいる。パトロンに近いその恋人に連れて行かれたパーティーでブルースに出会い、一目で恋に落ちる。
今回はスポ根でも温泉を掘る話でもなく、すでに恋人のいる男が他の男に一目惚れして速攻熱愛関係になり、別れ話がうまくいかずシュラバる・・・つまり三角関係ラブロマンスなんだけど、なんでいつもアメリカ人なのか・・・っていうのはなんとなくわかってきた。
「信じるまで何度も言おうか? 君は素晴らしい。俺の心をかき乱すだけではなく、もう一つの情熱もかき立ててくれる。ヘパイストスの手でね」
「あんたを好きになった・・・いつからかは知らない」
「俺は知っている。ベンに呼ばれて振り向いたときだ」
「知れば知るほど、好きになる。今、抱いたばかりだってのに、もう欲しくてたまらない。俺にどんな呪いをかけたんだ?」
日本人同士で行うにはちと無理のあるカンヴァセーションでも、双方英語で言っているのだと思えばおかしくない。
ブルースとランのスイートなトークもいいけど、ランのルームメイト、ドラァグクイーンのテツオとの機知に富んだ会話も(日本人同士なんだけど)粋だ。
「別れ話をするならスターバックスね」と言うテツオ。
なぜなら人目があるし、みっともない騒ぎを起こして二度とその店に行けなくなっても、スターバックスのコーヒーが飲みたければ別の店で飲めばいい、と言う。
出会った惚れた別れた仲直りしたの単純な話なのに面白いのは、このカンヴァセーションの魅力である。
でもランとブルースがいったん喧嘩別れしてしまうのも言葉のせいなのだ・・・言葉にすることがすべてだと思ってるアメリカ人と、傷ついたときは黙って慰めてほしい日本人との文化的摩擦?というのもまた面白い展開だった。