幻冬舎ルチル文庫2009年
外科医(36)×麻酔科医(28)
私の個人的な見解ですけど、麻酔科医は変人が多い・・・と思う。
以前、手術をした病院の麻酔科医も、当時人気の若手俳優に似たいい男だったけど・・・変人だったなあ。
麻酔薬を専門に扱っているうちにハマってしまうのか、麻薬の濫用で捕まる麻酔科医も少なくない。
総合病院に勤務する麻酔科医、譲(ゆずる)はとても真面目な医師である。
しかしその美貌のせいで誤解を受けやすい・・・取り澄ましていて近寄りがたいと思われ、無意味に敵を作ってしまう(と自分で思っている)。
不器用すぎて恋人もできず、職場では上司に目の敵にされていじめられ、それを気に病んで不眠症・・・
眠れない麻酔科医なのである。
そんな譲の職場にアメリカ帰りのスゴ腕外科医・徳原がやってくる。
36歳独身でハンサム。ゲイである譲は好みのタイプだと思っても、臆病で小心なのでアプローチすることもできない。
それなのに、まだそれほど親しくもない徳原に食事に誘われ、巧みなリードでその夜のうちに体を重ねてしまう。
そこで徳原は自分に惚れてるんだ・・・とは思わないところが、なんと言うか、譲の変わったところだと思う
手軽な遊び相手だと思われたんだと勝手に思い込み、男の意地で「遊びなれた男」を演じているうちに、どんどん本気で好きになってしまい「どうしようどうしよう」と追い込まれていく。
BLというラブストーリーではこういう話の結末は一つしかない。
そこに向かって進んでいくわけだけど、結末がわかっているから面白い話というものがある。
これはまさしくそれですね。
真面目で不器用なヒロインを、年上の男の大きな愛と包容力でしっかり受け止める・・・定番中の定番だけに安心して読める。
しかし・・・最後に徳原がアメリカから帰国した理由ってのがわかって、それは意外なものではないのだけど、この外科医、ちょっと手が早すぎやしませんか??というのが率直な感想であります。