クリスタル文庫2002年
大学生(19)×麻薬取締官(27)
いや〜なんだかねえ。「荒唐無稽」という言葉が裸足で逃げるような事実が次々と出てくると、小説を読む気が失せるっていうか。
実は
極道のお嬢だったアイドル、逃走に手を貸す元
ブラック弁護士、心肺停止した女を放置して逃げる
三流俳優・・・小説の設定だったとしてもちょっと安っぽくないか?
しかし恐ろしいのは薬物中毒。こうも世の中に薬物が蔓延してるとは・・・ここはぜひかっこいいマトリに活躍してもらわないと。ってわけで急にマトリものが読みたくなった。
マトリものといえば、剛しいらの、オヤジ上司と肉じゃが新妻の「
惚れたら最期」「
惚れたら危険」もいいけど、久しぶりに「ミッション」を再読してみる。
これは水壬楓子の中では「年下攻め」っていうところもレアだけど、ちょっと他にない味わいの作品だと思う。
俊広(としひろ)は達生(たつき)の親友の弟で、8歳年下。
自分になついていた子供も成長して高校生になり色気づいて達生を押し倒す・・・それを拒絶して以来3年ぶりの再会は、身分を隠しての潜入捜査のためだった。
覚醒剤に手を出し自らも密売組織の一員になってしまった親友と、何も知らず一途に自分を慕ってくる俊広との板挟みになりながら任務を遂行する達生。
家族経営のリゾートホテルを舞台にした麻薬取引の捕り物アクションだが、年下にガンガン迫られてよろめきそうになりながらもボロボロになっても踏ん張る達生のタフなヒロインぶりがいい。
最後に明らかになる達生の生い立ちも初読のときは「そんな・・・」と思ったけど、今読むと世の中には普通にあることなんだなと納得できる。
押し倒すしか能のない年下大型ワンコも、やっと達生の大人の強さに気が付き、大人になって出直すというハッピーエンドも清々しい。
しかしかわいそうなのは、麻薬中毒患者を親に持つ子供・・・。