ダリア文庫 2010年
ベーシスト(20)×ボーカリスト(19)
崎谷はるひの初期作品を3か月連続で新装文庫化。
まだ1巻しか出てないんで、書くのは早いんですけど。
バンドものか・・・バンドものなんだよ・・・。
そういえばBLでバンドものって見ない・・・アイドル、俳優、ソロミュージシャン、モデル、漫才コンビのBLはあっても、バンドものって読んだことないなあ。
書いてる人もいるのかもしれないけど、少なくとも主流の作家はあんまり書いてないと思う。
流行らないのか?バンドもの。
男たちの集団という人間関係、ともに夢を追って、貧乏で、対立があって・・・青春だぜ。
BL向けの舞台な気がするんだけど、なぜみんなバンドBLを書かないんだろう。
今どきのバンド事情ってのもよくわからないけど、やっぱそういう「
青春」は古いのか?
いや、古いというより、BLはやっぱり女のドリームなので、そんなビンボ臭い話より、身寄りのない美少年が大金持ちに拾われて磨かれてスターになるとか、かっこいいヤクザと美人刑事が追ったり追われたりするような話のほうが、圧倒的に需要があるのだろう。
90年代のバンドシーンが舞台ということで、新装版には最初のページに「90年代初頭の日本というのは・・・」という時代背景の解説が加えられているのだが、90年代をそれほど昔と思ってない私は、これを読んで「え、そうか?70年代生まれから見た90年代ってそうなの?」とちょっと違和感を覚えたのだけど、本編(改稿なし)を読むうち、そうか・・・90年代ってもうこんなに遠い昔なんだ・・・とあらためて思った。
「曲作ったから聞いてくれ」と、
カセットテープを渡してテープデッキにかける・・・
というようなくだりは、「古いっ!」と思うけど、じゃあ今のバンドの子たちってどうしてんだろ。
CD−Rに焼いて渡す?
ネット上の共有フォルダにアップロードするとか?
・・・よくわからないけど、現代の若者のバンドものを書かれても、やっぱ私にはついてけないかも。
美形のボーカル(野良猫系)と、無口で無骨なベーシストの不器用な恋模様。
作者も若かったのね、という勢いで書いてるようなところもありますが、独特の節回しというか、崎谷さんしか使わない言い回しが頻出していて、すでに崎谷ワールドは確立している。
なにより、かなりボリウムのある1冊目でも話はまだ佳境にも行かず、あとまだ2冊あるのだ。
新人作家が、これだけの長編を書くことがすごい。
そこがこの人の才能なんだなーと思う。
3冊そろってから読んだほうがいいかも・・・とは思ったけど、古い作品なので、とりあえず1冊読んでみたら、いいところ「続く」でした。
ここが頑張りどころだ杉本!というところで、2巻が楽しみに待つ。