幻冬舎ルチル文庫2009年
高校生×高校生
1996年のビーボーイノベルズの新装版。私は初読みです。
作者は初期の作品だから恥ずかしい・・・とおっしゃいますが、なんだ・・・こういう学園もの昔から書いてたんですね。
偏差値の高い中高一貫のミッション系男子校。懐かしくも甘酸っぱい高校生活が生き生きと描かれて、LOVE&エロスは甘さ控えめという・・・寮制ではないけれど「空色スピカ」シリーズの高校生とベースは一緒である。
名家のお坊ちゃまで美形の伊集院、ずば抜けた秀才の浅井、無骨な男前の文学少年・東郷。
外部から高等部に編入してきて浮いた存在だった水瀬(みなせ)は、伊集院の誘いでこの3人と仲良くなる。
グループ交際である。
いつも一緒に昼飯を食べて、遊びに行ったり旅行に行ったり・・・。
私の高校は共学でしたが、男子が多く男子校的な校風だったので、よくわかるこういう雰囲気。
女の子にも興味はあるけど男どうしでつるんでるのが楽しい年頃なのよね。硬派を気取りたいというのもある。
伊集院は天真爛漫な水瀬に好意を持っている。それは誰の目にも明らかなので水瀬もなんとなくわかっていて気付かないふりをしてるんだけど、それよりこの仲間と一緒にいるのが楽しい・・・と思っていたのに、いつのまにか無口だけど優しい東郷を好きになってしまう。
・・・という三角関係の話なんだけど、その決着は、作者も今だったらこうは書かないと言うくらい曖昧である。だけどそこがいいんだな。
水瀬が東郷に迫って、ちょっとだけイケナイことをしてしまった翌日、そのショックと疲れ?で保健室に引きこもってしまった水瀬に、伊集院、浅井、東郷が順番に様子を見に来て、それぞれに「なんかあったの?」とか「そんなに辛かった?」とか「最後までやったのか?」とか、いろんなことを言う。
これが書かれた時代にはそういう意図はなかったと思うんだけど、「高校生の恋愛」との距離がありすぎる今となっては、こういうところにいいなー男の子って(うふふふ)と思ってしまう。
かわいさんは私が高校生はこうであってほしい、と思う高校生を書いてくれる人です。