モデル(23)×検事(28)
プランタン出版ラピス文庫 2007年
2006年戌年最後の一冊は・・・犬ですよ犬! わん!
中原一也+奈良千春+ラピス文庫でタイトルが「欲望の犬」とくれば、エロぎっしりの福袋か?と思いきや・・・これが意外に心理ドラマ寄り。
といってもエロが足りないわけじゃない。
雨の日に拾った若い男とのケダモノのようなセックスに溺れる検事・・・という設定そのものはハードなんだけど、その行為の描写は意外とあっさりしてる(そう思うのはしつこいHを書く人ばかり読んでるからかも?)。
むしろ真面目で堅物の検事・水上が、素性を明かさない野良犬のような男・大貫との動物的な行為にハマって、「あんた、見た目に似合わずスゴイね」と言葉で辱められて興奮するという、自分でも知らなかった被虐的な嗜好をあばかれていくという事態がエロチックなのだ。
そこには同性愛者である水上の、「自分に普通の幸せはない」と思い込んでいる内面の寂寥が描かれている。
失礼ながら中原さんてこういうの書ける人だったっけ?
スケベオヤジがムラムラする話(笑)は得意だけど、繊細な心理のアヤを書くのはあまり向いてない文体だと思ってましたが・・・文章がうまくなったのは確かだと思います。
2006年もあとわずかですが、今年も1年お付き合いありがとうございました。
おせち料理も作ったし、あとは本を選んで実家に帰るばかりなり・・・今年もBL本を読みながら除夜の鐘を聞くという煩悩バリバリの年越しとなることでしょう。
どうか皆様よいお年を。
そして来年もよろしくお願いします。