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葛城副編集長の最後の賭け 高遠琉加
 角川ルビー文庫2011年

編集者(31)×会社員(29)

成澤准教授の最後の恋」のスピンオフ。
文芸誌「レクトゥール」の豪放磊落な副編集長は、実は名家の出だったのである。

裕福な家に拾われて養育された薄幸の孤児が、身分違いの恋心を隠して恩ある主に忠誠を尽くす・・・というようなモチーフは、普通は時代もので書かれる。
かわい有美子の「上海」とか。

「成澤准教授・・・」は、自信過剰の攻めが、純情な受けに軽い気持ちで手を出して抜き差しならなくなる・・・という、ある種王道の面白さだったけど、今回は現代ものに時代錯誤な人たちが登場し、価値観が交錯するところが面白い。

「おかえりなさいませ夏彦様」

どこの執事カフェだよという時代がかった物腰の諒(りょう)は、葛城夏彦の父親の実家である地方の名家の使用人の息子で、幼い頃から本家の跡取り息子・和也に召使のように仕えている。

夏彦は、前近代的な地方豪族のしがらみを嫌って飛び出した本家の三男の息子・・・つまり父の代からの都会人で、葛城本家の風習を「いまどきそんな」というしらけた目で見ている。

二人はお互いに子供の頃から知っているのだが、10年前、和也の起こした交通事故の身代わりを諒が引き受たことに憤った夏彦は、以来本家とは縁を切っていた。

ところがある日突然、諒が夏彦の家にやってきて10年ぶりに二人の関係が動き始める。

【以下ネタバレ注意】
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| 高遠琉加 | 22:50 | comments(0) | - |
酷いくらいに 高遠琉加
 ガッシュ文庫 2011年

シェフ見習い(22)×翻訳家(29)

ずいぶん遅くなりましたが、今年も最初の新刊は高遠さんでした。

車椅子のヒロイン・・・「足の不自由な受け」カテゴリーの中でも重度なほうです。
そして「兄の恋人を奪う」という、これもよく見られる設定ながら、高遠さんらしいていねいな話の運びがいい。
5年前の雑誌掲載作+書き下ろしということで、ちょっと今とは文体違いますけど。

海外の列車事故で両親を亡くし、自分も車椅子生活となった秋(あき)。
過酷な運命を受け入れて、フリーランスの翻訳家として愛犬と穏やかに暮している。

まだ若くて人生経験の浅い広見(ひろみ)は、兄の同級生で恋人だった秋とどう接していいのか、どう攻めていったらいいのかわからなくて、犬の散歩やらご飯作りやらしながら、堂々めぐりしている。

しかし、身体ハンデのある相手を無理矢理押し倒すようなことはできないし・・・と悶々とする年下の男に対して、秋は実は手加減なしで対等に愛してほしい・・・酷いくらいに・・・と願っていたというお話。

秋は、帰国子女でフランス育ち。
楚々とした薄幸の美人だけど、何気に初体験はフランス人で無意識に色っぽい。
地味な話ながらけっこうそそります(私だけかも?)

秋がクリスチャンという設定なので、「神様」「クリスマス」というキーワードも隠し味になっている。

ただ、優秀で性格も円満な兄が、ゲイでもないのに秋に手を出し、結果的にはポイ捨てしてしまった心理が納得できないというか、秋が兄を振ったことにしたらしっくり来たのになと思う。

レーベルが違うので固有名詞は出てきませんが、広見が見習いとして勤めているレストランは例の一軒家レストランという裏設定とのこと。
シェフもディレクトールも元気そうでなにより。
| 高遠琉加 | 16:48 | comments(0) | - |
世界の果てで待っていて 〜嘘とナイフ〜 高遠琉加
 SHYノベルズ2010年

探偵(31)×刑事(31)

最初に読んだ高遠作品が「世界の果てで待っていて〜天使の傷跡」だった。
その後、これより以前のものも含めて読んできたけれど、こういう甘味のないハードな路線ってこれだけなのだ。
これだけ別人みたいな気がする。

だから続きが出ないのかな・・・と思っていたけれど、シャレードのレストラン三部作、ルビーのナル准教授で最近絶好調の作者がついに続きを書いた。

前作から5年ですよ。
その間一度も再読してないんだけど、どうしても手離すことができなかった。
その理由さえ忘れかけていたけど、このたび再読して思い出した。

渋谷のはずれに事務所を構える元刑事の探偵、黒澤統一郎と渋谷署で元同僚だった櫂谷雪人。
1冊目の中では「誘拐された双子の片割れを探す」という依頼された事件は解決するものの、黒澤の背景も雪人との関係も過去のエピソードとして出てくるだけで、ボーイズラブ的なロマンスもエロもないという、じっみーな話。

それでも、これはなにかとんでもない話のプロローグなのではないか、という手ごたえはあった。

そして5年たってやっと動き始めた物語は、じわじわと大きな山を登り始め、(作者いわく)ジェットコースターが急勾配を登りきった頂上で止るように「つづく」になっている。
え〜〜?ここでつづく? そんならどうしてもっと早く続きを書いてくれなかったの(恨)・・・。

今回も、ハード&ビターです。
依頼された事件は、未成年殺人事件の犯人探し。
それはそれで警察小説っぽくかっちり書いてるが、事件を挟んで探偵と刑事という立場で対立するの二人の間の溝はますます深く広くなり、二人の関係はいっこうに進展しない。

一昔前のBLの、3冊くらい読まないとキスもしないというようなテンポの遅さとは違う。
2人を金縛りにしている、今にも決壊しそうな情念が濃厚でエロい。

やっぱり統一郎という男のフェロモンが・・・ナルでもコワモテでもない、自然に構えてるのに、女も子供も「探偵さん」と頼ってくる懐の深さ。
それでいて心と肉体に深く刻んだ傷は誰にも見せない・・・見せるとしたら雪人だけなんだろうけど。

「今晩だけ泊めて」とすがる女を「悪い」と引きはがし、惚れた男に「もうキスはしないと決めていたのに」などと言う、ハードボイルド=男のやせ我慢大会
この話の行方はいったいどこへ?


「世界の果てで待っていて」というタイトルは、1冊目の双子の事件にかかっていると思っていたけど、そうではなかったのね。
たとえこの地上で結ばれなくても世界の果てでお互いを待つ・・・そういう結末でもいいと思いつつ、この続きを待つとしよう。

(そんな5年も前の本持ってないという方には、今回同時に新装版が出ていますのでこの際どうぞ)

| 高遠琉加 | 16:43 | comments(1) | - |
成澤准教授の最後の恋 高遠琉加
 角川ルビー文庫2009年

准教授(31)×編集者(23)

福袋」ってのは、不要なものが入ってるから買わないんだけど、これは全部欲しかったものが入っている福袋みたいな、今年最初の大アタリ本だった。

フランス文学翻訳者として顔も名前も売れている成澤(なるさわ)は、帰国子女で容姿端麗、31歳の若さで大学准教授。
学者として前途洋洋、本業以外の仕事で知名度も収入も上がり、ほしいものはなんだって手に入る何不自由ない生活・・・なのに毎日が「つまらない」のはどうしたことだろうか。

そんなナルナル先生が、美青年でもない、地味な新人編集者の蒼井(あおい)に・・・最初は遊びでチョッカイ出しただけのつもりが、ずるずるっと本気になってしまい、ウブで従順だと思っていた男の意外な頑なさに手も足も出なくなる。

「遊び慣れた攻めが、オボコなヒロインにおぼれてメタメタになるお話」

私の大好物・・・これは攻め視点が重要で、鳩村衣杏の「ドアをノックするのは誰」の甲田、うえだ真由の「フラワー・チルドレン」の倉田、吉田ナツの「ダブルベッド」の佐伯、話の系統は違うが、鷺沼やすなの「夢の卵」の黒沢先生もちょっと入ってるかな・・・・自信家で傲慢でちょっとナル入ってて、でも子どもっぽい(大人気ない)・・・私の好きな攻めキャラを全部足して割ったような人物だ。

こういう話では受けは清楚な美人というのが定石だが、蒼井に関しては、特に美形ではない、印象に残らない平凡な容貌としている。
成澤先生は、仏文学者のくせに、純愛の存在を信じず、恋愛が人を愚かにすることも知らない。
最初から「平凡な男だ」「好みの顔じゃない」と自分に言い聞かせながら、地すべり的に恋に落ちて行くところが、滑稽であり、恋愛の本質をついている。

よくあるパターンながら、そもそも最初に大きな「誤解」があって、それがあちらこちらと転がっていく展開が面白く、仏文学者らしいエスプリのある気のきいた作品になった。タイトルにかかるラストのセリフもしゃれている。

「准教授」という言葉ができたときに、「准教授じゃ萌えない」と書いたけど、やはりもう助教授の時代じゃないですね。BL初の「准教授攻め」??

| 高遠琉加 | 14:43 | comments(0) | - |
愛と混乱のレストラン(全3冊) 高遠琉加
愛と混乱のレストラン』(2008年3月)


美女と野獣と紳士』(2008年12月)


唇にキス 舌の上に愛』(2009年5月)

以上二見書房シャレード文庫

シェフ(28)×支配人(29)

ついに完結! 
期待以上の面白さ、涙と感動のラストに毎日この3冊をぐるぐると読み返しています。
2冊目と3冊目は連続刊行してほしかったけど、まあ1年ちょっとで完結したのでよしとしよう。これから読む方は3冊そろえてから読み始めることをおすすめします。

「愛と混乱のレストラン」は、業績不振で休業中のフレンチレストランに親会社から出向してきた支配人が、札幌の洋食屋からシェフを強引にスカウトするところから始まる。
冷たい美貌の支配人・理人(りひと)と、腕はいいが無愛想で協調性のない料理人・修司はことごとく対立し、どうしても店を成功させたいと力めば力むほど理人は店のスタッフから孤立してしまう。
こんな店辞めてやる!とたたきつけたところで、修司はエリート然とした理人の隠された私生活を知る・・・。

なんかすごく面白そうなドラマが始まった・・・前菜はとてもおいしいんだけど、メインに何が出てくるのか想像できない・・・という1冊目。

それが2冊目で一気に盛り上がり、「え〜?ここで続きを待て? そんな〜」と、おいしそうなメインの皿を前にカトラリーがない!! という状態でおなかグーグー言わせて待った完結編でした。
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| 高遠琉加 | 13:02 | comments(0) | - |
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